第326話 ノーコメント。的なお話
現在夜営中。
物音に気づかないというのはまずいので爪楊枝作りはしていない。
だからすごく暇だ。
ちなみに爪楊枝作りは昼の作成のおかげでレベルが4になってる。
後6か。
まだ先は長いな。
ん?
なんか、テントの方から声がした気がする。
あのテントは……シア達か。
「あ、レント達の番だったのか。」
「おはよう。ホットミルク飲む?」
「ありがとう。準備いいわね。」
「まあ、ある程度予想はできてたからな。その顔、悪夢でも見たか?」
「………なんで分かったの?」
「あんな目にあえば、悪夢くらい見るだろう。ましてや相手がオークだからなおのことな。」
「そういう事か。隣、座っていい?」
「もちろん。……………明日は、オークと戦ってもらうから。」
「っ!?」
「……………今のシア達は……オークに対して極度に怯えるようになっている。俺が昔住んでた場所では、トラウマって言う心の病だ。それは時間が経つほど、治りにくく、酷くなっていく。治すためにはその恐怖と向き合わないといけないんだ。だから、2人には戦ってもらわないといけないんだ。冒険者としてこれからもやっていくだけじゃなく、生きていくためにも、必要な事だから。」
「……………………。」
「もちろん、俺たちが側にいるから危ない事なんてない。だから、一緒に乗り越えよう。」
「…………分かった。」
大丈夫だといいな。
いや、2人ならきっと大丈夫だ。
「………………………。」
「………………………。」
空気が重くなった。
どうしよう。
リリンとルリエは空気を読んで離れててくれてるし、本当にどうしたものか。
「ねぇ。」
「ひゃいっ!」
「ひゃいっ! って……。」
「う、うるさい。それよりも一体なんだよ?」
「別に、大した事じゃないんだけど、その、レントって、私の事好きなの?」
「っ!? い、いきなりなに言ってんだよ!」
「いや、だって、昼にセフィアがレントは私の事好きだって言ってたし、それに、さっきから私の事気にかけてくれてて、だから、好きなのかなって。」
「…………ノーコメント。」
「それって、認めてるようなものよね。」
「それもノーコメント。」
「エルナは?」
「ノーコメント。」
「ふ〜ん。……ま、いいわ。それじゃさ、これまでのこと、セフィアの実家に行った時の事とか教えてくれない? みんなが起きるまでまだ時間があるし。」
「…………分かった。そもそも事の発端はな………」
「何々?」
それからみんなが起きてくるまで、セフィアの実家に行った時の事をリリンやルリエが補足してくれつつ、説明していった。
◇
みんなが起きてきて、朝食の準備をしている間、俺は素振りをする。
これをしないとな。
ただ、普段とは違って今日はどういうわけかシアがその様子を見てくる。
そんなに面白いもんでもないと思うんだけど。
それになんかむず痒いし。
そして完成した朝食をみんなで食べて後片付けをして期間の準備をする。
……そういえば、ここって確か八階層だよな。
って事はあれが出るんじゃね?
ミミック出るんじゃね?
………いやいや、今回は2人の救助が目的なんだし、そんな事はできない。
でも、帰還結晶が見つかればそれに越した事ないし、ちょっとくらいなら……
「そろそろ行くよ、レント。」
「えっ!? あ、うん。分かった。」
まあ、その辺はナビゲーションをするセフィアと探知してくれるリリンに任せるか。
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