第306話 出発的なお話

西側に来て最初に入ったのは本屋だ。

こっちの世界にアニメなんてあるわけないし、漫画もほとんどなしと娯楽が少ない。

となれば必然的に本となる。

こっちに来てから本ばっかり読んでるよ。

といっても、こっちの言語だから漢字離れが激しいんだけどね。

あはは〜。


まだ持ってない本をいくつか買ったら次は雑貨屋だ。

雑貨屋ではお皿やコップ、フォークやナイフといった食器類を購入した。

箸は……無いな。

残念だ。


木工屋では何も買わなかった。

今は足りないものとかないし、そもそも家から離れてるのに買う意味自体無かった。

金物屋も同様。


そして時間的にこのアクセサリー商が最後かな。


「これなんてどうかな?」

「いいと思います。その色はレイダさんの緑の髪と相性がいいですし。」


何故かレイダさんに似合うアクセを選んでるけど。

レイダさんってあんまりおしゃれとかしてないんだよね。

その所為かな?


「ちょっと待って。こっちも似合うと思うんだが、どうかな?」

「本当だ?確かに似合いそう。」

「……いや、自分たちのを選びなさいよ。」


自分のって言ってもね〜。

正直に言えばある程度のものは自分でも作れる。

まあ、出来はあまりよくないけど。

だから俺はどちらかといえばデザインの参考とかそういう目的で来てるんだよね。

というわけで適当に眺めてます。

そうして眺めている間にセフィアとルリエ、アカネは選び終わったようで、会計をしている。


「急いで! あと5分しかないわよ!」


眺めているうちに結構な時間が経っていたようでアカネの言う通り現在は11時55分だ。

広場での合流は12時。

というわけで現在、絶賛走ってます。



「すまん。少し遅れた。」

「ん。問題ない。」


走ってきたけど、人とぶつからないように気をつけてだったから全力で走ることができず、結果的に6分程遅れてしまった。

若干の遅れはあるが、それほどの事でもな適当な店を探しつつリリン達の方で何があったかを聞く。


串焼きはデフォルトで他にもいろいろあったそうだが、特に気に入ったのが1つの料理だった。

なんでも、芋を乾燥させて砕いた粉末を使用した薄いパンみたいなもので特製ダレに漬けた肉を野菜と一緒にはさんだものだそうだ。

それを充分な量を確保してるからとの事で少し貰い食べてみると、生地の方がすごいモチモチしてて、それと濃いめのタレが合っていて美味しい。


「これなんて名前?」

「ケルパって言ってた。」


初めて聞く言葉だな。

こっちの世界独自の物なのかな?


そうこうしているうちに良さそうな店を発見したのでそこで昼食をとり、急いで宿へと戻る。

馬車を預かってくれてはいるが、あんまり置いとくのも迷惑だろうと思ってのことだ。


馬達は2頭とも元気できっちりとお世話してもらっていたみたいだ。

馬の様子を見た後は馬達を馬車と繋いでこの街を出て行く。


今回はあまり時間もなかったので、簡単にしか見れていない。

他の店にも行ってみたいし、服とかも見れてなかった。

迷宮都市でしばらく修行をしたらまた来たいものだな。

アメリタ義母さんやセラさんにもお土産買いたいし、ハンナ義母さん所には輸送かな?

冒険者に依頼すればきっと届けてくれるよね。


迷宮都市まで後一週間ちょい。

残りの御者も頑張ろう。

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