第304話 1つ買いました的なお話
「この2つって同時使用できたりするんですか?」
「えっと、このタイプのものは無理です。地面に刺してその周囲に結界を発生させるのですが、その際に周囲の魔力を吸収してるので、その、2つを同時に使うと魔力を集めきれなくてうまく作動しないんです。」
「そうですか。でも、それって他のは大丈夫ってことなんですか?」
「あ、はい。他のは内蔵している魔石だけで魔力を賄えたり、配置を考えれば互いに干渉しないので。」
「えっと、じゃあ、それもそうすればよかったんじゃ……」
「そうしたいんですけど、魔石だけでは出力が足りなくて、それで周囲からも魔力を集めて足りない分を補っているんです。」
「そうなんですか……じゃあ、ダンジョンで使うとしたらどっちのほうが良いですかね?」
「ダンジョンですか。それならこっちの人避けの方ですね。ダンジョン内では人を殺して手柄を横取りしようとする迷賊なる人達が居るらしいですから。それにどういうわけか魔除けの方はダンジョン内だと効果が弱まると聞きますから。」
「そうなのか。それじゃあ、仕方ないか。じゃあ、人避けの方を………いいよな?」
勝手に話進めてたけど、結構な値段するし確認したほうがいいよな。
「うーん。いろいろな場面で使えるし必要なことはわかるけど………お金は大丈夫なの?」
「まあ、両方買えるだけはあるけど、結構減ってるから迷宮都市ではしっかり稼いだほうがいいと思う。」
「えっ、そんなに減ってるの?」
「まあ、馬車買ったり、家賃1年分払ったりしたからな。」
「そう……だよね。うん。じゃあ、向こうに着いたら頑張ろうか。魔道具は買うつもりだろうから文句はないよ。それに必要なことだしね。」
嫁の許可も貰えたので改めて店の人に向き合い買う旨を伝える。
「あ、ありがとうございます!」
すごい喜んでる。
そんなに人来ないのか?
その後は買った結界柱の使用者認証させたり、使い方を教わった。
というか、使用者認証とかコレ、かなり凄い物だったようだ。
作成者が最初に魔力を流して、その後に使用者が魔力を流すことで認証するというこの人オリジナルの術式だそうだ。
この人が作ってたみたい。
本当に凄いな。
使い方を教わり終わったので店を後にする。
迷宮都市でいっぱい稼いだら他の物も買いたいな。
「ちょっ、私まだ買ってないんだけど!」
「あ、忘れてた。」
会計を済ませた蒼井を連れて、今度こそ店を後にする。
「で、お前は何を買ったんだ?」
「これよ。対毒の指輪。その名の通り毒耐性を上げるの。」
「革鎧もあるのに、用心深いんだな。」
「迷賊なんて話聞いちゃったからね。そりゃ対策は多いに越したことないじゃない。」
「それもそうだな。まあ、俺達は恩恵の状態異常耐性があるけどな。」
「ズルい。どうやったら進化したの?」
「プロポーズしたら進化した。」
「は?」
「プロポーズしたら進化した。」
「いや、繰り返さなくていいから。というか、それ本当なの?」
「僕達も同じタイミングだったよ。」
「ん。」
「はい。」
「マジか。うわー。どうしよう。私まだ好きな人いないんだけど、どうしよう。」
「まあ、焦ることないんじゃないか? 加護貰ってからそんなに時間経ってないし。」
「それはそうなんだけど、でも、やっぱりズルい。」
そう言われても、こればっかりは俺にはどうしようもないんだけど。
それにそれが条件とは限らないし。
「えーと、それで、アカネは何を買ったんだ?」
話をそらしつつアカネに聞いてみた。
「私もユウキと同じ感じかな。私のは対麻痺のネックレスだけど。」
「なるほど。」
言われてみれば、アカネの首元に見たこともないネックレスがある。
あれがそうなのか。
俺じゃまだああいうのは作れないし、ちょっと悔しいな。
精々、少しばかり能力が上昇するだけだし。
街を散策してた時間が長いのかもう空が赤くなっている。
西側はちらっとしか見れてないし、まだ行けてない所もあるが、そろそろ宿に帰らないと夕食とお風呂が間に合わなくなる。
そう思って宿へと駆け足で帰った。
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