第264話 説得? 完了的なお話
「ごめん。素で忘れてた。」
「酷い!」
そうは言うが俺の目的は売る事で買う事じゃないんだし、忘れてたっておかしくないと思うのですよ。
と、自分を納得させてみたり。
「と、ところでさ、二刀流って実際どういうスキルなの? 双剣とどう違うの?」
「話逸らした。」
「いや、でも知らないと選ぶの手伝えないし。な。」
「そうだよね。」
「ん。」
「ま、まあ、セフィアちゃんがそういうなら……」
ちょろい。
「二刀流っていうのは二種類の武器を使うスキルなの。双剣は最初から二刀一対の物を使うのに対して二刀流は剣の長さが違う物を使ったり、それこそ剣と斧みたいな全然違う武器でも成立するの。まあ、そんなおかしな事する人なんて滅多にいないでしょうけど。」
「なるほど。」
そういえば、日本で最も有名な剣豪宮本武蔵が生み出した二天一流という流派は大太刀と小太刀を使ってるし、そういう感じのスキルなのか。
「でもユーリは同じ剣を使ってたよな。」
「あれは双剣じゃなくて片手剣を二本使ってたのよ。二刀流は他の武器も使える代わりにお金がかかるの。」
「ああ〜。双剣として売るんじゃなくて剣を二本だからなぁ。武器によっては同じ素材でも値段に差ができたりするしな。」
「そうなの。一応鉄の剣だからまだ安い方なんだけどね。」
「鉄の剣って事は次は黒鉄か鋼あたりか?」
「そうなんだけど……結構収入を得られたし、黒鉄鋼もありかなって思ってるんだよね。」
「でも、黒鉄鋼は一本六万だぞ。」
「うっ! それは……でも大丈夫。まだ手元に残るし。」
「まあ、それなら大丈夫か。」
なんでおれはこいつの心配をしてるんだろうか?
そこそこの期間一緒に仕事したりしてたから仲間意識が働いているのだろう。
まあ、実際に話してみればそう悪い奴じゃないしそれは別に問題ないんだけど……こいつがセフィアの親衛隊じゃなければなぁ〜。
「んじゃ、それを二本買うって事でいいんだな。」
「そうする。」
これで今日する事はコンプリートだ。
問題はどうやって別れるかだな。
ユーリを連れてっても別にいいと思わなくもないが……そうだ。
確かこいつの友人が怪我をしてるって話だしそれを使おう。
「ユーリ。ちょっといいか?」
「何?」
「いやな、俺達は今日帰ろうと思ってるんだ。」
「今日!? なんで!?」
「いや、結構ここに長居してるし迷惑かなって。それに家賃が……」
もう一月近くカインから離れてる。
家賃を払わないと追い出されちゃう。
というか一月分が勿体無いな。
「じゃあ、私も一緒に行く!」
「いや、冒険者仲間が怪我してるのに置いていくのは可哀想だろ。怪我が治ってからそいつと相談するのが筋ってもんだろ?」
「それは、そうかも。」
まあ、別に話し合ってここで別れるっていうのでも十分筋が通ってるんだが、このまま押しきろう。
「そういうわけなんでもしも来るにしてもその人とちゃんと話し合ってからな。」
「うん。分かった。」
よし。これで心置きなくカインに帰れる。
でも、その前に……お昼を食べてからね。
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