第262話 盗賊を売った。的なお話
「すいませーん。ちょっといいですか?」
「ん? ああ、セフィア達か。そいつらはどうしたんだ?」
「盗賊を捕まえたんで連れてきました。後、この子が捕まってたんで連れてきました。」
「盗賊か。それじゃこっちで確認するからちょっと詰所に来てくれ。お前は盗賊達の見張りを頼む。」
「りょーかい。」
セフィアの家の近所に住んでいた32歳独身のおじさんは同僚の門番さんに盗賊の見張りを頼むと俺達を詰所へと案内する。
多分あの水晶を使うんだろう。
詰所へと案内されると予想通り水晶を使っての確認作業を行う。
盗賊を見つけた所から始まり盗賊のアジトでのくだりを話し、子供を見つけた話をして最後にここまで連れてきた事を話す。
そしてその全てで水晶は反応することは無く、無事に事実確認が済んだ。
事実確認が済むと次にする事は捕まえた盗賊の処遇をどうするのかということ。
有名どころだと指名手配とかされてたりするんだけど、こいつらはそんなに知名度はないようで指名手配はされていなかった。
指名手配されていると衛兵さん達に捕まり、強制的に収監されるのだが、指名手配されていない場合だと捕まえた人が逮捕か犯罪奴隷として売るかの選択を出来るそうだ。
前に捕まえた時は商人と直接交渉したり、衛兵さん達が気を利かせて売ってくれてた。
今回はどうしよう。
こいつらはセフィアを害しようと考えてた奴らだから牢獄行きにしたいと思う一方で、犯罪奴隷として辛い目にあって欲しいとも思ってる。
うーん。
よし。
売ろう。
牢獄行きの連中がどうなるのかわからないし、確実に辛い目にあうと分かってる犯罪奴隷になって貰おう。
「犯罪奴隷として売ります。どこかいい店ってあります?」
「そうだな……あそこでいいか。ちょっとあいつを連れてきてくれ。」
セフィアの家の近所に住んでいた32歳独身のおじさんは盗賊の見張りをして貰ってた同僚さんを使いに出す。
そして待つ事20分。
その同僚さんは一人のおじさんを連れてやって来る。
「お、来たな。」
「あの人は?」
「あいつは奴隷商をしているロドスっていう男だ。この前のチンピラもあいつが買い取ったこの街一番の奴隷商だ。」
「そうなんですか。」
ゼェハァ言いながらやって来たロドスさんは挨拶もそこそこに盗賊達の品定めを開始する。
そんなに強くなかったしあんまりしないだろうが、まあ、こいつらはついでだ。
別に金に困ってるわけじゃないし。
「うーむ。そうですな。このくらいの連中ですと全部で37万リムと言ったところですかな。」
「そうですか。じゃあ、それで。」
「おや? それで本当にいいのですか? 普通ならもっと値上げ交渉とかするものなのですが。」
「そうなんですか? でも、なんか面倒くさいしセフィアを狙ったこいつらにはさっさと奴隷になって貰いたいんで、そのままでいいですよ。」
金に余裕があるなんて言うとカモと思われて奴隷を売り込まれるかもしれないしこれくらいは言っとかないと。
それに嘘は言ってないし。
「おや、そうですか。そういう事ならこちらとしても安く済むのでそれで構いませんよ。では、こちらが代金の37万リムです。」
「ちょっと確認しますね。えっと……うん。確かに。」
「私はこの後こいつらの洗浄とか色々あるのでこれで。」
そう言うとロドスさんは盗賊を連れてさっさと帰って行った。
最後はあの子供か。
まあ、親を探すのとか面倒だし、セフィアの家の近所に住んでいた32歳独身のおじさん達に押し付けるか。
「なあ。お前時々失礼な事考えてないか?」
「気のせいですよ。それで、あの子の事なんですが、親探しを任せていいですか? 本当は俺達家に帰るつもりだったんでこれ以上足止め食うのも困るというか……」
「そうなのか。何か急ぐ理由でもあるのか?」
「ええ、まあ。ちょっとセフィアの追っかけから逃げないといけないんで。」
「ユーリちゃんか。」
「ええ。そうです。」
「それは何というか………まあ、そう言う事なら後は任せてくれ。」
「お願いします。」
さて、後は帰るだけなんだが……捕まってた子供がセフィアから離れない。
どうしよう。
そう考えてると更なる問題がやって来た。
「セフィアちゃーーん!!」
はぁ。
見つかってしまった。
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