第239話 再捕獲的なお話

「ここでお昼にしましょう。」


ユーリがそう言って指差した店は落ち着いた雰囲気の良さそうなお店だった。

そしてみんなで中に入っていく。


「いらっしゃいませー。」


そこに居たのは太い棍棒を使っていた虎人族のエプロンを着てお盆を持って笑顔で立っていた。


「あれ? あなたは確か……」

「お前はあの時の。何故ここに!?」

「いや、普通に客としてきたんだけど。」

「レヴィ。8人なんだけど、空いてる?」

「隊長? そうか、例の賭けの対価か。」

「そういう事。」

「8人ですね。少々お待ちください。」


従業員という事だからなのか対応はすごく丁寧だ。

しかも様になってるし、オマケに服装がかなり似合ってる。

やっぱり女性は服装や化粧で印象がガラリと変わるんだな。

うちの嫁達は全く化粧してないけど、もしも服だけじゃなく化粧まできっちりしてきたら………マジでヤバいかも。

今度頼んでそれでデートしたい。

というかしよう。


「なぁ、セフィア、リリン、ルリエ。カインに帰ったら化粧してデートしよう。」

「え? 急にどうしたの?」

「いや、さっきのレヴィさん? を見たらさ、服装で大分印象が変わるなって思って。それでもしも3人が化粧までしたらどうなるのかなって思ったら我慢できなくなった。」

「あはは。うん。いいよ。」

「それは、楽しそうですね。」

「期待してて。」


これは楽しみだ。


「あのさ、私がいるんだけど良くそんな事を堂々と言えるわね。」

「ごめん。つい。」


ユーリに怒られてしまった。

まあ、親衛隊の目の前でする事ではなかったよな。


「お客様。こちらへどうぞ。」


そうこうしているとレヴィさん? が席の準備が出来たようで呼びに来た。

席に着いてメニューを見るが、当然というか仕方ないというかやはり写真なしだ。

まあ、カメラも無いししょうがないよな。

よし、このグレイフォックス……の下のロックディアーと山菜を使ったパスタにしよう。

俺、動物としての狐は結構好きなんだよね。


全員の料理が届きみんなで食べる。

野性味があるが、結構いけるな。

嫁達が興味を示したので少しずつ分け合って仲良く食べる。

そうやってセフィアと仲良く食べるに応じてユーリとレヴィさん? が睨んでくる。

羨ましいだろう……と見せびらかしてみたい気もするがそうすると騒がしそうなんで堪える。


昼も食べ終わり、紅茶を飲みながら少しばかりゆっくりしていると客が減ったからなのかレヴィさん? が喋りにやってきた。


「セフィアちゃん。こ、この後、私、仕事あがりなんです。だ、だから、私もご一緒していいでしょうか?」

「うん。いいよ。」

「あ、ありがとうございます!」


「所でユーリさん。お金って余裕あります?」

「もちろん。こう見えても私はDランク冒険者なんだから。」

「へー。冒険者だったんだ。どうりで一番強いわけだ。」

「ま、まあね。これでも子供の頃から頑張ってきたんだから。」

「丁度いいや。今度さ、一緒に依頼受けてくれない? この辺の地理とかあんま詳しくないし、セフィアも最近の事は分からないと思うからこの辺の事教えてくれない? な、いいだろ? もちろん、一回だけでいいからさ。」

「そ、そこまで言うならしょうがないわね。それに、セフィアちゃんと一緒に仕事出来るんだし。」


よし。

案内役、再びゲットだぜ。

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