第208話 肉食な羊的なお話

「さて、次はドライブゴートだな。そういえば、こんな所で火を纏う魔物なんているのかな?」

「「あ。」」


そう。

ここは森の中。

火事になりそうな所に火の魔物がいるとはとても思えない。

思えなかったんだけども、なんか、スッゲーゴツい羊と遭遇しました。


「「「あ、いた。」」」


スッゲーゴツいし、角が凄く大きくて鋭いんだよというセフィアの言葉通りな角を持った羊だ。

それが大きなクマ、クリムゾンベアを食べている。

しかも周りには角が生えた犬っぽい動物の骨が落ちている。

羊なのに肉食なのか。

というか、クマやオオカミを食べる羊って何かで見た気がするんだけど………だめだ。

思い出せない。

まあ、それは別にいいか。


「えーと。うん。見つかったわけだし、気にするのはやめよっか。」

「そうだね。それで、どうする? お食事中みたいだけど。」

「とりあえず遠距離攻撃。」

「そうだな。それからは臨機応変にって事で。そんで、突進してきたらセフィアが土壁を形成して阻止って感じで。間に合わなそうなら言ってね。そしたら直ぐに対応出来るし。」

「分かった。」

「ん。」


作戦はまとまったし、早速行動開始だ。

俺の遠距離攻撃といえば火魔法なんだけど、相手は火を纏う。

つまりは耐火性能は高いという事だ。

だから今回は飛閃を使う。

そう思って剣を構えると、どういうわけか二人も同様に自分の武器を構えた。


「えーと、何故に武器を構えてるのですか?」

「僕も飛閃を使おうかなって。」

「私も。」


どうやら近接用の斬撃武器の共通スキルっぽいです。


「じゃあ、一緒にやろうか。」

「うん。」

「ん。」

「「「せーの!」」」


そして放たれる四つの斬撃。

セフィアは双剣なんで1+1+2で四つだ。

その斬撃はゴツい羊に吸い込まれるように当たった。

セフィアの斬撃は角を斬り飛ばし、リリンの斬撃は胴体に大きな切り傷を作り、俺の斬撃は胴体を真っ二つにしてました。


何故に!?


同じ飛閃で何でここまで差があるの!

と、考えた所で自分の黒鉄の剣には斬れ味上昇の効果がある事を。

ひょっとして、それが影響してる?


「………一撃だったね、レント。」

「あ、うん。」

「その剣のせい?」

「………多分ね。」


リリンは聡い子です。

どうやら原因がこの剣にあると思われるという結論にリリンも至ったようだ。


「とりあえず、帰るか。」

「そうだね。」

「そうする。」


それから街に向けて歩く。

途中で遭遇する魔物はセフィアとリリンが率先して倒していた。

俺が二体ともサクッと倒しちゃったからフラストレーションでも溜まってたのかな?


そうして今日も平凡な日常を送るはずだったんだけど、そうはならなかった。


ギルド経由で両親からセフィアに手紙が届いた。

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