第206話 使えない本的なお話

スキルの本は魔法の本よりも分厚い。

おそらく魔法よりもスキルの数が多いということなのだろう。

だから……眺めるだけでも一苦労です。

先ずは片手剣から見ようかな。

えーと、えーと、えーと、えーと、……………あ、やっと見つけた。

本当、探すのは大変だ。

二刀流はまた今度にしようかな?

まだ、片手剣極めてないし。


そんなことよりも片手剣だ。

細かい説明はどうでも良い。

今は効率の良い修練の方法とかの方が重要だ。

何々、素振りをするよりも実戦をしたほうがいいでしょう。戦いに使える技術は戦いの中でこそ見出すことができるので、本を読む暇があれば実際に戦いましょう。

…………本当に、役に立たないな。

ちなみに、覚え方は懇切丁寧に説明されていた。

差が、激しすぎる。


えーい、面倒くさい。

こんなんじゃどうせ二刀流に関しても大したことなんか書いてないだろう。

本来の目的の転移魔法についてももう調べたんだ。

さっさと模擬戦しよう。


というわけで場所を移動して模擬戦をしています。

三人なのでそれぞれ二戦したら交代するという形を取っているが、やっぱりあれだな。

俺の戦いは短くて、セフィアとリリンの戦いは長い。

セフィアとリリンの差は少ししかないがその差をセフィアは手数で埋めている為に長引く。

そして俺は三人の中で一番弱い。

その差はやはり少ししかない(と思いたい)が、戦闘スタイルの差の関係かそこまで時間が掛からない。

つまり何が言いたいかというと……


「はあ、はあ、はあ、次……」


俺は休めて、二人が全然休めない。

四巡もすると流石に辛いようで二人ともかなり息が上がっている。


「あー、そろそろお昼にしようか。二人もかなり辛そうだし、休みがてらさ。」

「はあ、はあ、はあ、そ、そうだね。」

「はあ、はあ、そうする。」


模擬戦するの、今度からはアカネがいる時にしようかな。

いや、ちゃんと休みながらすればいいんだけど、二人が休もうとしないんだよね。

どうしたものか。

あ、ちなみにお昼はラビット肉のシチューです。


「午後からはどうする? 二人はかなり辛そうだったけど、休みたいんなら帰るけど。」

「うーん、僕は大丈夫だけど、どうする?」

「街に行く。」

「あ、デートするって事?」

「違う。デートの準備。後、四人お揃いの服を買いたい。」

「それいいね。どんなのがいいかな? やっぱり寝巻き? それとも外歩き用? 僕は寝巻きがいいかな。あ、でも、外歩き用のも捨て難いかも。」

「いっその事、両方買う?」

「そうしよっか。それじゃあ、早速行こう。」


お揃いって何? ペアルック? いや、四人だからクアトロルック? って語呂悪いな。

じゃなくて、寝巻きはともかく外歩き用は恥ずいよ。

とか思っていると二人に手を取られて席を立たされてユニー・クロイツへと連行される。


それから二時間。

二人のお買い物に付き合いました。

外歩き用のは拝み倒してなんとか止めてもらった。

俺にはまだ難易度が高いです。

それでも、寝巻きはお揃いになったけど、これならば耐えられる。


その後は夕食の買い物をして、いつも通りの日常を過ごして、夜。

風呂に入ってみんなでお揃いの買ったばかりの寝巻きに着替えた。

正直に言おう。

三人とも可愛すぎる。

いつもならリリンから誘うのだが、今日は珍しく俺から襲いかかった。

みんなが可愛いのが悪いんです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る