第175話 貸し出してた的なお話

朝だ。

今日から初のBランク依頼を受けるから、緊張と興奮がないまぜになってなんとも言えない感覚がする。

こう、胸がムカムカドキドキしてそれを抑えるのが辛い感じ。

となれば素振りをして心を落ち着かせるしかない。


「997、998、999、1000!」


今日はこれから移動だから半分にしといた。

セフィアに関しては寝かせといた。

依頼の日は少しでも休んでてほしいから。


「お兄さん。朝ごはんが出来ましたよ。」


ルリエの呼び声に応じて家の中に入って朝食を食べる。

残念な事に蒼井、アカネは寝たままだそうだ。

まあ、いつもよりも早い時間だししょうがないけど。

セフィア、リリン、ルリエ、レイダさんと一緒に朝食を食べて、出かける準備をする。

武器防具、消耗品なんかを確認して準備が出来たので、玄関に行くとルリエがバスケットを持って立っていた。


「お兄さん。お弁当を作ったのでアレクシアさん達と一緒にお昼に食べてください。」

「ありがとう、ルリエ。」

「そしてこっちが今日の夜の分で、これが明日の朝の分です。残念ながらバスケットが足りないのでこれだけしか用意できなかったんですけど。」

「ず、随分と多く作ったね。というかこれだけの食材を何処から?」

「えっと、昨日の内に買ってそれを夜にユウキさんに出しといて貰ったんです。」

「そうか。全部食べるからね。」

「はい。気をつけてくださいね。」


「「「行ってきます。」」」



ギルドでシアとルナと合流して依頼を受ける。

ハードジャイアントは領都に行って更にその先の方に生息しているそうで、どうせならということで領都に向かう護衛依頼を探している。

しかし、そう都合良く依頼が転がっている事はなく追加依頼は諦めた。


しかし、そうなると歩きになるのかな?

歩きだと領都まで四日くらいになると思うし、どうしよう。

貸し馬車とか無いのかな?

駄目元で聞いてみるとギルドで貸し出しているそうだ。

でも、これは遠出することもあるCランク以上限定だそうだ。

CとDでは結構差があるんだな。

飛び級的に昇格しててよかった。まあ、その場合は遠出しなかったろうけど。


誰が操車するのかと思ったがシアが馬の扱いなら任せろとのことなので完全に任せよう。

俺は馬に触ったことすら無いからね。

アルパカならあるけど。

動物園で触れ合いをしてたんだよね。


そんな感じで領都に向かった。

その道中はラビットやファング、ローグバードなどの魔物が出てくるけどサクッと倒せる。

なんだかんだで頑張ってきたからその成果が出るというのは嬉しいもんだな。


お天道様が真上に来たので拓けた場所でお昼にする。

ルリエが作ってくれてたお弁当第一弾だ。

これもストレージがあるからこそ出来ることだな。


うん。

嫁の料理は外で食べても美味い。


その後も順調に進んでいき、魔物はサクッと倒して、夕飯もルリエの弁当。

夜営も何事もなく済んだ。

途中オークが出たけど問題なく倒せたし何事もなかったってことでいいよね。


朝になり最後のお弁当を噛みしめるように食べる。

セフィア達の料理も美味しいけど、暫くはルリエの味がなくなると思うと寂しい。

少し残しとけば良かったな。


魔物戦もすぐに終わる為に前の試験の時よりも速く着いた。

まあ、前の時は試験ということもあって連携を重視していたし、リリンもいなかったからね。


お昼前に着いたしヨージさんの所に行きたいかも。

そして、メンマとチャーシューの極意を聞きたい。

でもその前に先ずは宿探しかな。

馬車を置いておける宿じゃないと行けないからな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る