第149話 今夜部屋に来る? 的なお話

スケートリンクかと思ったがよく見てみれば地面が凍っているだけで結構デコボコしている。

魔法……即ち遠距離攻撃に対応している訓練場だからここは結構広い。

だが、あいつはその訓練場を長さにして15mくらい凍らせてしまっている。

本当に何をしたんだ?


「一体何をしたんだ?」

「あー。あははは。あの的を凍らそうと思ったんだけど、地面がどんどん凍って行っちゃったんだよね。」


そう言われて指差した所を見てみると確かに氷の塊があり蒼井からそこに続くように凍っている。

でもこれ、どうすんだ?


「これ、どうするんだ?」

「さあ?」

「さあって……。」

「そのうち溶けるでしょ。」

「それはそうだろうけど……他に使う人もいるんだしさ……。」

「ごめんなさい。」

「いや、俺に謝られても……」


結局俺がヒートバーナーで溶かした。

5mの奴は収束が甘いから火力は弱い筈だ。

事実地面は焦げることなく溶かすことができている。

はあ。

こんな形で役に立つとはな。



きっちりと後始末をしてからギルドを後にする。


ギルドを出たら街に向かおう。

だって蒼井の服とかまだ何も無いしな。


そういえば住む場所はどうするんだろう。

俺の家には後三つほど空き部屋があるけど、そこに泊まるのもどうかと思うんだよね。

だって幼馴染の新婚さん家なんて気まずい筈だし、俺も恥ずかしい。

かといって一人だけ宿に泊まらせるなんて危ないことはさせたくない。

さて、どうしたものか。


……………………。

考えるのも面倒だし聞いたほうが早いな。


「蒼井はどこに泊まるんだ?」

「えっ! 泊めてくれないの?」

「いや、それでいいのか? 顔見知りの男の家なんて普通やだろう?」

「あんたがそれを言う? アカネさんとか住まわせてるくせに。」

「うっ! それはまあ、そうなんだけど………じゃあ、家に、来るか?」

「そのつもり。あ、あとお金貸して。服とか装備とか買いたいし。後で返すからさ。なんなら身体で返そうか?」

「じゃあ、それで……ってなるか! なんで嫁の前でそんなこと言うだよ! それに好きじゃない奴となんてやだよ。」

「私もー。」

「じゃあ、なんで言ったんだよ。」

「なんとなく。」

「……はあ。全く。そんな事はあんまり言わないほうがいいぞ。」

「当たり前じゃん。断るの分かってるし風見以外には言わないよ。」

「いや、そうじゃなくて。家のが目を輝かせてるから。」

「へ?」

「ユウキちゃん! やっぱりレントの事好きなの?」

「ユウキならいいよ。」

「何が!?」

「何時にする? あ、その前に指輪とかいる?」

「指輪って何!?」

「今夜部屋に来る?」

「何で!?」

「あー。なんか家の嫁は好きな人が認められるのが嬉しいみたいでな、それで仲間を見つけるとこんな感じになる。」

「そんなのってあり!? っていうかなんで私がこんな事に!?」

「自業自得だろ。まあ、丁度いいからこの機会に仲良くなれば。」

「ちょっ!」

「ねぇ、どんなのがいい?」

「何時にする?」


後ろの方で聞こえる声を聞きながら俺はベッドを売ってる店に向かった。

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