第127話 メタルなアレだと思った? 的なお話

昨日と違って今回はC+二人にCランク相当の三人で挑んでいる。

なので、踏破を目指して挑もうと思う。


アカネが地図はどんな感じと聞いてきたのでこのダンジョンは三日で構造が変わるから無いと伝えると不満が出てくる。

そうは言うけどここはアリシアさんが作ったダンジョンだからそれはアリシアさんに言ってくれ。

言えればの話だけど。


そうして話しながらもどんどん進んでいく。

話している間も魔物が出るのだが、流石にランク差があり過ぎるから簡単に倒せてしまう。

ちなみにアカネが使っている武器は細剣……つまりはレイピアだ。

いかにも貴族といった感じだね。

もう少し詳しく聞いてみると魔力強化という身体能力を上げるスキルと武器強化という武器を強化するスキルで攻撃力を上げれるとも言っていた。

ファンタジーの定番だ。

今度やり方を聞こうかな?

いや、先ずは俺の技術を上げてからにしよう。

じゃないと身体能力に振り回されてしまう。


それからもズンズン……というか、小走りで駆け抜けていく。

相手が雑魚なのでリリンとアカネがサクッと倒して俺が回収する。

ストレージは手で触れるだけで収納できるから手間が省けていいな。


休憩も階段前広間のみで行い、今は三層の広間だ。

中の構造が変わっても基本は変わらない。

だから次からは罠が出てくる事になる。

折角のダンジョンなのに罠に掛かって余計なダメージを負うのもあれなので慎重に行こうと言うと、アカネが漸くダンジョンらしくなってきたと言った。

……洞窟に魔物ってだけでも十分ダンジョンらしいと思うんだが。


きっちりと休んだので四層に向かう。

そして四層に降り立つのだが……アカネが消えた。

いや、よく見てみれば地面に指がある。

そんで近づいてみると落とし穴があってそこにぶら下がっていた。

なのでアカネを引き上げて穴の中を見てみると竹槍がギッシリだった。


「ガチで殺しに来てるじゃないのー!!急に危険度上がりすぎでしょ!!」

「こんな所で致死性のトラップって珍しいけど、このダンジョンはやられてもダンジョン前に転送されるだけだから問題ないよ。」

「ふぇ?」

「プフッ!」


ふぇ? って。突然惚けた顔するからそれがおかしくてつい吹き出してしまった。


「ちょっ! 笑うなー!」

「ごめんごめん。」

「……それで、転送ってどういう事なの?」

「このダンジョンは神様が作ったこの世界の人の強さの底上げ用のダンジョンで、死ぬ事がないんだよ。だからここは初心者ダンジョンって言うんだよ。幾つか制限があるけどね。」

「へ〜。」

「へ〜。って。ここら辺に住んでいたんじゃないの?」

「貴族の娘だったから戦闘訓練もあったけど、基本は社交術とかばっか教えられてたのよ。」

「なるほど。まあ、そんなわけで死ぬ事は無いから、先に進もうか。」

「そうね。」


最初に引っかかってしまったが、それからはリリンの罠感知のお陰で無事に進む事ができた。

そして遭遇する。

某RPGなんかでめちゃくちゃ経験値が手に入る、あの鈍い銀色のスライムに。

こちらに気付いてないようなので、リリンにどういう魔物かを一応聞いてみる。


メタルスライム

Eランクの魔物で鉄粉を体内に取り込んでしまったかわいそうなスライム。

鉄粉のお陰で防御力が若干上がっているかわりにただでさえ遅い敏捷性がとても下がっている。

正直に言っていい的である。


予想と違った。

というかなんか倒すのがかわいそうになっちゃったよ。

魔物なのに。

だからスルーする事にした。

強く生きろ。


そして四層の階段前広間に到着したのでお昼にしよう。

いつも通りに準備する。

今日はセフィアがいないので俺に出来る事をして手伝う。

そうして準備をしているのだが、なんだかリリンの手際がいい気がする。

いや、まあ、いつもやっているから手際がいいのは当たり前な気がするけど、気になったのでちょっと聞いてみた。

その答えがこうだ。


「料理スキルを覚えた。」


ドヤァって顔してピースをしている。

くっ! 可愛いじゃないか。

カメラが無いのが本気で悲しい。

永久保存したいのに……。


そんな一幕があったが無事に完成した料理をいただく。


リリンだけの手料理も新鮮で尚且つ普通に美味しかったです。

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