第99話 これもデートでは?的なお話

柔らかなベッドの心地良さを微睡みの中で堪能していると誰かに身体を揺すられる。

誰だろう?

そう思って目を開けるとそこには愛妻(一応まだ婚約者)のキス顏がどアップにあった。

そしてそのままキスをされる。

今日はセフィアの方が早かったか。


「はわわ……。」


ん?

なんか変な声が聞こえたぞ。

俺とセフィアは顔を見合わせた後そちらの方を向くと顔を真っ赤にしたアカネさんがいた。

……そういえば居ましたね。


それからテンパってるアカネを宥めてから宿の朝食を頂く。

その際に呼び捨てにして良いと許可を貰ったので呼び捨てにさせてもらう。


やはりいつの間にか増えていた昨日の奴隷少女の事が気になるのかアレクシアさんとエルナさんは頻りにアカネを見ている。

とはいえ食事中なので詳しい話は食べ終わってからにしてもらおう。

それにしても美味しいな、これ。



ふぅ。お茶が美味しい。

朝食を済ませたのでお茶を堪能する。

そうして落ち着いた頃合いを見計らってアカネの事を話す。

といっても俺も彼女の出自なんかは精々転生者であるということしか知らないのであまり話すことは出来ないが。

というわけで彼女が俺と同郷だった事。

そして奴隷身分から解放されてばかりなので職を探している事。

そしてその際に自分の事を気に掛けていたように見えた俺を頼ってきた事を説明し、カインの街へ同行できないかを相談する。

でも、やはり受験者である以上は試験官の意見を聞いた方がいいとなってアベルさんとリィナ、セラさんが食事している所に行く。

すると驚いた事に三人とも彼女の事を知っていた。


実はアカネは元々貴族の出だそうでその時の名前がアカネ・ユースティア。

魔物が大量発生した時に冒険者と一緒に騎士の人も戦いその時にアカネの父親が指揮を執って、その付き添いで来てたそうだ。

死んだ後に異世界に転生して貴族なんて何処のラノベヒロインだと言いたいところだけど、なんで奴隷になったのだろうか?

流石に聞くのはマズイんだろうな。

そんな雰囲気が場を支配してしまい空気が重くなる。

とはいえ、知り合いが……という事で同行を認めてもらえた。


こんな空気もアレだな。

……よし。アカネを連れて遊びに行くか。

ラーメン屋のおっちゃ……ゲフン。お兄さんの所とかも行こう。

デートはまあ、リリンとルリエもいる時にしよう。

という訳でセフィアと一緒にアカネを連れ出して街へ出る。


朝食の時からガッツリ食べてたし、俺のイメージ的にも奴隷はあまり良いものを食べさせてもらえない気がする。

なので食べ歩きをメインに街を散策する。

支払いは勿論俺だ。

俺自身アリシアさんに五万貰ってるしね。

今ならあれが結構高額なんだと分かる。

情けは人の為ならずという言葉は情けをかけると人の為にならないという意味ではなく、情けをかけると巡り巡って自分に返ってくるという意味だ。

アカネも助かり俺達も後で良い事がある。

つまりはwin-winだ。

だから気にしないでくれとアカネに伝えて食べ歩く。

昼にはラーメンを食べる。

おっちゃ…お兄さんは事情を聞くとそういう事ならといってアカネの分をタダにしてくれた。

やっぱり良い人だ。


そして午後はリリン達へのお土産を買ったり、アカネの服なんかを見たり、また食べ歩きをしたりしながら楽しんだ。


日が暮れたので宿に戻り、高級宿の最後の晩餐を楽しむ。

そして風呂はセフィアとイチャつきながら入る。

アカネは今日も同じ部屋だからな。

魔道具さまさまだ。

風呂から出たら夜風に当たりながら夜のお茶会と洒落込んだあと、眠りに着く。


明日からまた、野営だ。

頑張ろう。

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