第90話 改めて自己紹介します。的なお話
「どうやら三つにパーティが別れたみたいですね。それでは黄昏の獅子さん達には三組に分かれてもらい、護衛対象として同行してもらいます。ただ、同時に出発しては試験にならないので今日の昼からと明日の早朝、明日の昼から移動を開始して下さい。」
それからそれぞれの臨時パーティへと合流する黄昏の獅子さん達。
俺達の所にはアベルさんとリィナさんだ。
あれ?でも確かアベルさんはトリアさんと付き合ってたような…。
だからどうしてこの組み合わせなのかを聞いてみた。
「まあ、これも仕事だからな。昇格のかかった試験で護衛対象がイチャついてるのを見てイラついて集中出来なかった…なんて言われる訳にもいかないからな。後はまあ、食いもんを用意出来る奴で分けたんだわ。」
「それってトリアさん、キャロルさん、リィナさんですか?」
「いや。俺、トリア、キャロルの三人だ。」
「え?」
「わ、私は斥候を務めてるから料理をする機会が無いだけだ。それにやろうと思えば出来なくはない……筈だ。」
「いや、無理だろう。前だってそう言って酷い目に…「わーわーわー!!そ、それ以上言うなー!!」」
狼狽えてるリィナさんは珍しいな。
なんかちょっと可愛いかも。
なんて考えていると横からつつかれた。
なんだろうと思いそちらを見るとつついた主はアレクシアさんだった。
「ね、ねえ?あの黄昏の獅子と知り合いなの?」
「あのって?」
「し、知らないの!?Bランクでありながら何度もドラゴンを倒してて、その実力はAランクにも引けを取らない上に全員が美男美女。この街で冒険者やってるのになんで知らないの!?」
「ご、ごめんなさい。」
リィナさん達ってそんなに凄かったのか。
というかアレクシアさん、エルフなのに結構ミーハーなんだね。
「そ、それで何処で何時、どうやって知り合ったの!!」
「近い近い近い!!」
「えっ?あっ!」
キス寸前まで詰め寄って来たアレクシアさんはその事に気づいて、慌てて離れる。
因みにキスと言ってもイヌイット式だぞ。
鼻と鼻をくっつける、中二病でも○がしたい!戀でやってたやつ。
「こほん。そろそろ自己紹介をしたいのだが。」
「えっ!あ、すみません。」
リィナさんに注意されてしまった。
俺とセフィアは全員と面識があるがアレクシアさんとエルナさん、リィナさんとアベルさんは初対面の筈だ。
アレクシアさん達はアベルさん達のことを知っているみたいだけど。
「では先ず俺から。こほん。黄昏の獅子のリーダーをしているアベルだ。今回は試験官兼護衛対象だからよっぽどのことがない限り戦わないつもりだから、戦力として期待しないでくれよ。」
「黄昏の獅子の斥候役をしているリィナだ。り、料理が出来ないわけではないぞ。たまたま失敗しただけなんだからな。」
「まだ言うか。」
「うるさい。」
「俺とセフィアはした方がいいですか?」
「勿論だ。コミュニケーションは大事だぞ。こういうのは信頼関係を結べるかで変わってくるからな。依頼先ときちんと信頼関係を結べれれば、報酬が上乗せされたり、指名されたりするからな。」
「分かりました。えっと、俺は蓮斗って言います。一応片手剣と火魔法を使います。」
「セフィアです。メイン武器は双剣でサブは釘バットで、魔法は風と土を使えます。」
さらっと釘バットを入れてくるとか、元の世界だと一昔前のヤンキーくらいじゃないかな。そういうの。
「次は私ね。私はアレクシア。見ての通りのエルフで風魔法と弓を使うわ。奥の手はもう少し仲良くなったら教えてあげる。」
奥の手って精霊魔法かな。
エルフの定番だし。
「わ、私はエルナ…です。火と闇が得意…です。」
「この子は人見知りでね。あと、男性が苦手なの。だから、その辺の事は注意してね。」
人見知りの魔族って…。
というかなんで冒険者なんてしてるんだろう。
冒険者なんて基本男ばっかだぞ。
まあ、こういうのは気にするだけ無駄か。どうせ今回だけの臨時パーティだし、必要以上に突っ込むだけ野暮ってもんだ。
それからは陣形や野営時の順番や食事の用意なんかを話し合う。
その結果、各自で非常食を携帯するが、基本は俺のストレージに材料を仕舞って必要な時に調理する事になった。
調理担当はセフィアとエルナさんだ。
リィナさん達の分は今回は用意しなくていいそうだが、依頼によっては一緒に準備したり、して貰ったりするそうだ。
そして話し合った結果、必要になった物を調達したりお昼ご飯を食べてから門の前に集合する。
今回は俺達が最初に出発するそうだ。
魔物多そうだし、気をつけないとな。
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