第76話 リリンの新魔法的なお話
草の上に腰を下ろし、セフィア達が練習しているであろう所を見ると、リリンしかいなかった。
あれ?セフィアは?
気になってリリンに声を掛ける。
「おーい。リリ〜ン。セフィアがどこ行ったか知らな〜い?」
するとその声が聞こえたのかリリンはとてとてとこちらに歩いて来る。
っていうか近い、近い。
座っている俺を覗き込むように見てきた。
そして満足したかのような笑みを浮かべると少しだけ離れる。
疑問に思っているとリリンの影からリリンが飛び出して来た。
え!?何!?リリンが二人ってどういう事!?
「どう、びっくりした?」
最初のリリンがそう言うと姿がぶれてセフィアになる。
どうやら変化でリリンに化けていたようだ。
そしてリリンは影の中に潜んで…潜んで?
前にスキルを見た時はそんな魔法もスキルも無かった筈だが。
「リリン。さっきの魔法?はどうしたの?」
「闇魔法の
「へ〜。それって他の人も一緒に潜れるの?」
「まだ無理。練習すれば出来るようになると思う。」
「そっか。セフィアの方はどう?」
「うーん。まだ全然かな。姿だけで声はそのままだし、魔法も20%くらいしか再現出来ないし。」
「え!?魔法も使えんの?」
「うん。変化してる間はね。でも、再現度はスキルLVに依存してるし、使う魔力も持ってない属性で1.5倍、持ってる属性でも使った事ない魔法なら1.2倍と効率はあんまり良くないんだよね。」
「そうなのか。そううまい話は無いってことか。でも、使える属性が増えるのはいい事だし頑張ってね。」
「うん。それで、レントは?」
「あー、うん。ぼちぼちかな。魔力消費抑える方法はなんとかって感じだけど呪文無いとまだ上手くいかないし、時間かかるんだけどね。あ、セフィア、リリン。果実水いる?」
「うん。」
「いる。」
二人ともいるというのでストレージから果実水を取り出す。
ついでに串焼きなんかも出す。
「そういえばさ、魔法って複数の属性を同時に使えたりしないの?」
「え、同時に?」
「そう。同時に。」
「う〜ん。伝説とか本では聞いたことあるけど、どうだろう。」
「レイモンドの冒険。」
「あー、そうそう。そういえばその本に出てくる魔法使いが複数の魔法を使ってた。」
「そうなのか。本になってるなら出来ない事はないのかな?でも、当分は無理そうだな。じゃあさ、複数人で違う属性の魔法同士を混ぜ合わせるのは?例えば火と風とか。」
「あ、それは聞いたことあるよ。確か合成魔法っていうんだって。」
「師匠が使ったことがあるって言ってた。」
「そうなのか。じゃあ、午後はそれ、やってみない?」
「面白そうだけど、流石にここではまずいんじゃない。そういうのはきちんと教わった方がいいんじゃないかな?」
「うっ。それは確かに。俺は組み合わせれそうなのは火魔法しかないし、そうなるとこんな街の近くだと流石に問題あるか。」
「火事は怖い。」
「そうだな。」
暫く話し込んでたら昼になっていた。
なので俺が薪を集め、火を熾し、セフィア達が調理をする。
そして昼食を食べた後、それぞれで再び練習をする。
◇
練習を再開して二時間。
魔力も心許なくなってきたし、今日はここいらで終わらせる。
周りが若干焦げている気がするが、気のせいだ。
べ、別に圧縮に失敗して炎の短剣を爆発とかさせてないし。
練習を終えたセフィア達と一緒に宿に帰る。
レイカーさんが貸してくれた本で夕食までの時間を潰し、夕食を頂き、嫁達(予定)を頂いた後、寝る。
さて、明日はどうしようか。
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