第72話 ボス戦をします。的なお話

降って来たのは巨大コボルト。

普通のコボルトは120cmくらいなのに対してこの巨大コボルトは250cmくらいはありそう。

そして筋肉が詰まっているであろう太い両腕は丸太のような棍棒をそれぞれ握っている。

そして何よりも特徴的なのは顔だ。

コボルトは二足歩行出来るようになったような犬といった感じだがその顔にも差があり、これまで見たことがあるのは大半が柴犬型だが、中にはドーベルマンやレトリーバー、ブルドッグ型なんかもいた。

だが、この巨大コボルト…えーい、めんどくさい。デカイコボルト、略してデカルトでいいや。

そんな偉人かなんかいた気がするがそれは置いとこう。

そんでこのデカルトは大きめな三角形の耳に小さめな顔、そしてつぶらな大きな瞳をしている。

そう、チワワだ。

筋肉ムキムキの身体の上にチワワの可愛い顔が乗っている。

はっきり言って気色悪い。


「キャン、キャン。」


ーズコッ!


声まで可愛い系かよ。

軽くずっこけていたら隙を見つけたとばかりに突っ込んでくる。

やべっ、戦闘中だった。


「来るよ、レント!」

「わかってる。」

「散開して、的を分散。」

「おう。」

「分かった。」


セフィアとリリンが左右に避け、俺はバックステップをする。

そして俺達がいた所にデカルトは両手に持った棍棒を振り下ろしてた。

その隙を見逃さずセフィアとリリンが左右から一撃入れる。

俺は意識が二人のどちらかに向いた瞬間を狙えるようファイヤーボールを準備する。

しかし、デカルトはそのまま俺に頭突きを仕掛けて来た。


「なっ!?」


回避出来ないと思い咄嗟に後方に飛び退く。

そのまま攻撃を受けるが後方に飛んだ為にダメージを最小限に抑える。

そしておまけとして準備していたファイヤーボールを飛ばされながら顔面にぶち込んどく。


「ぐへっ!」


地面は意外と硬かった。


「レントッ!」

「大丈夫!?」

「ゲホッ、大丈夫だ。それよりも集中。」

「う、うん。」

「…ん。」


今迄の魔物戦闘では碌なダメージを受けてなかったから油断していた。

気を引き締めないと。


それ以降は回避中心でヒットアンドアウェイでチクチクとダメージを与えていく。

そして戦闘は中盤戦に突入する。


キャンとデカルトが鳴くとデカルトの棍棒が燃え上がる。

魔法剣ならぬ魔法棍棒だ。

しかしこちらには水魔法が使えるリリンがいる。

注意をこちらに向ける為片手剣のアーツ跳ね斬りを放つ。

これは身を低くしながら接敵し下段からの斬り上げにジャンプ力を加えて放つ初歩のアーツだ。


デカルトが振った棍棒を身を屈めて躱してそのまま打ち込む。

デカルトに大ダメージを与えた所でリリンの水魔法が炸裂し棍棒の火を消す。


っていうかよくよく考えたらなんで俺は突っ込んだんろう?

燃え移ったり、炎のダメージを受けないように火を消すのに燃えているうちに突っ込んだら意味無いじゃん。


しかし大ダメージを受けてよろけた隙を逃すのも勿体無いとばかりにセフィアが近づき二重十字斬りを背後から放つ。


「ギャオオォォォン!!!」


セフィアのこの攻撃によってキレたのかデカルトが凄まじい叫びを上げ、棍棒を捨てる。

そして両腕の筋肉が更に盛りあがる。


どうやらボス戦は終盤戦に突入したようだ。

あの両腕はヤバイ。

気をつけねば。

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