第65話 両手に花的なお話(前編)
朝起きると両脇にいたはずの二人がいない。
何処に行ったのかと思い辺りを見回すが二人の姿が何処にもない。
少し不安になっていると部屋のドアが開けられ、そこにはエプロン装備の二人がいた。
勿論下には普通の服を着ていた。
伝説の裸エプロンには興味あるが拠点を持ってからだよな。
と、そこで二人がバスケットのような物を持っていることに気が付いた。
「えっと、それなに?」
そう言って二人が持っているバスケットを指差す。
「その、今日はデートしたいなぁって思って、それで宿の人に場所借りてリリンと一緒にお弁当作ったんだ。駄目、かな?」
「駄目な筈がない!最近はそこそこ稼いでるし、行こうか。デート。」
「うん。」
「やった。」
セフィアは満面の笑みで、リリンも頬が緩んでおり二人とも嬉しそうだ。
俺自身、大好きな二人からデートに誘われれば嬉しくないなんて事は地球がムカデに支配されるくらい無い。
あれ、なんか変だぞ。
浮かれ過ぎてちょっと変になってたかも。
まあ、いいや。
デートするならさっさと準備しないとな。
◇
以前二人が買ってくれた一張羅を着込み、両手に花状態で出掛ける。
もちろん、両手の花はセフィアとリリンだ。
「先ずは服を買おうか。」
「服?」
「え、そんなに変かな?」
「いや、似合ってて二人とも普通に可愛いよ。でも、俺が今着てる服は二人からもらったものだからね。だから、そのお返しがしたいなって思って。」
「ありがとう、レント。」
「…可愛い。////。」
笑顔で感謝の言葉を述べるセフィアも、可愛いに反応して照れてるリリンもどちらも凄く可愛いです。
そんな二人をもっと可愛くできるなら服なんて安いどころか爆安だよ。
◇
そんな訳で服屋さんに来てます。
ユニ○ロを至高とする俺のファッションセンスはいい方ではないだろう。
だからと言ってただぼうっと見てるのもあれなので一緒に服を選ぶ。
役に立つかは分からないが。
そうして服を選ぶこと一時間。
流石に一代で財をなしたというユニー・クロイツさんのクロイツ呉服店カイン支店。
値段は少々張るが品揃えが良かった。
そうして選んだ二人の服は良く似合っていた。
リリンなんかは店員にお人形さんみたい…なんて言われてたし。
買った服に着替えた二人を連れてデートを再開する。
街を歩き、バナナの叩き売りに遭遇したり、露店を冷やかしたり、バナナの叩き売りに遭遇したり、吟遊詩人の詩う英雄譚を聴いておひねりを投げ入れたり、バナナの叩き売りに遭遇したり、大道芸人のような人の演舞に魅入ったり、バナナの叩き売りに遭遇したり…ってバナナの叩き売り多いな!
事情を聞くとどうも発注ミスで本来は五十の筈が五百ものバナナが届いたそうで、倉庫で腐らせるよりかはマシということで叩き売りしてるそうだ。
そんな話を聞いといて買いませんというのもあれなので、三房ほど買った。
俺にはストレージがあるからな、多少多くても問題ない。
◇
バナナの叩き売りから離れ、広場にて二人の手作りお弁当を頂く。
食べやすいサンドウィッチで、中身は昨日のカエル、シュヴァインフロッシュのドロップアイテムの豚肉や、サラダサンド、ラビットサンドにカットフルーツを挟んだのがあり、どれも美味しかった。
というか、シュヴァインフロッシュって、無駄にカッコいい名前だな。
果実水で喉を潤し、食休みをしたらデートを再開する。
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