第63話 テンプレトラップ的なお話

五階層へたどり着き、探索を開始する。

この階層も罠が有るだろうと思い警戒しつつ進んでいく。

ところがどっこいそれなりに進んでも罠が見当たらないし、引っかからない。

魔物なんかは普通に出るのに。

とはいえ、地味に精神的に来る罠が無いなら無いで構わない。

警戒は解かないが少しだけペースを上げて進んでいく。


そうして何個目かの曲がり道を進むと長い直通の道に出た。


「今までにないパターンだね。一応警戒した方がいいよね。」

「そうだな。」


セフィアの言う通り今までもそれなりに真っ直ぐな道はあったが先が見えないほど長い真っ直ぐな道は無かった。

五階層は初心者ダンジョンの真ん中だ。

だから中ボスとか出て来るのかもしれないな。

気を引き締めて行こう。


「ゴブリン。」

「リリン、数は分かるか?」

「多分五十。」

「多くねっ!!」


少し進んだところでリリンがゴブリンを見つけたようで数を聞いてみたところ五十と過去最高記録を樹立した。

しかもここは真っ直ぐな道な為遠からず向こうも気付く。

となれば戦うしかない。


初手で出来るだけ数を減らそうと俺達は魔法を準備する。

俺はファイヤーボムを制御出来る限界まで大きくする。

セフィアはアースピラーに使う魔力を溜めているようだ。

そしてリリンは幾つものアクアランスを空中で待機させていた。


そうして待ち構える事二分。

漸くこちらに気づいたようでギィギィ鳴きながら走って来た。


というか遅いよ!!

魔法を維持するのにもMPを消費すんだから。

何気にきついんだぞ、これ。


そんな怒りを込めてある程度の数が射程内に入った所でファイヤーボムを撃ち込む。


ドォーーーン!!!という大きな音とともに十匹くらいのゴブリンが跡形も無く吹き飛んだ。

その後、後続がある程度来たところでリリンがアクアランスを撃ち込み、セフィアがアースピラーで串刺しにする。

その結果、残り二十匹くらいにまで数を減らした。

後はとにかく剣を振る。

俺は迫るゴブリンを悉く首スポーンし、セフィアとリリンは急所を一突きで倒していった。


「道が狭くて助かったな。もしも広い空間だったら囲まれてやばかった。」

「そうだね。それにあんなに多くの敵と戦った事も無かったしね。」

「…ん。」


魔石とドロップアイテムを回収してから再び進む。

ドロップアイテムはメダルが一枚と沢山の角。

それと四本のナイフだった。

何故ナイフ?と思わなくは無いが、考えるのが面倒なのでストレージに突っ込んどいた。


そうして道の先が見えた頃に壁に変な物を見つけた。

人型の窪みだ。

それが三つあり、一つは高さ160くらいで猫のポーズ、一つは170くらいでコマネチ、一つは145くらいで荒ぶる鷹のポーズ。

うん。展開が読めた。

というわけで念のため嵌る練習を


「何してるの?」

「念のため練習しとこうと思って。セフィア達もやっといた方がいいぞ。」

「「え?」」

「いいからやっとけって。」


渋々といった感じで窪みに入る二人。

その後、進んでいくとセフィアがスイッチのような物をカチッと踏んだ。

そして聞こえるドンッ!ゴロゴロという音。


「やっぱり。アリシアさん、インディ・ジョー○ズにでもハマってたのか?」


つい本音が零れたが、二人を連れて戻り素早く窪みに入っていく。

そして後ろを通り過ぎる巨岩。


ダンジョンのトラップといえばやっぱりこれだよね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る