番外編 クリスマスの裏側

クリスマス。

それは元々はとある聖人の復活祭という話があったりなかったりするが現在においては世の中のお父さんお母さんのプレゼント争奪戦の成果を披露したり、ゲーム・オモチャ業界の確変時期だったり、恋人の居ない物が怨嗟の声を上げたり、カップルが聖なる夜を性なる夜に変えたり、そのカップルに呼応するように更なる怨念を撒き散らす者が居たりする特別な日である。


そしてその特別な日に向けて準備を重ねる者達がいる。

その者達とはアリシアとレイカーという神である。

今回はその二人の神にスポットを当ててみよう。



「アリシア様、これなんていいんじゃないでしょうか?」

「確かにこれは蓮斗さんには合うかもしれないけど、リリンさんにはちょっと。」


ここは日本のとあるショッピングモールの装飾品等を取り扱うエリア。

その中で現在二人の神はお気に入りの子とその恋人達に贈るクリスマスプレゼントを選んでいる最中である。

美を司る女神では無いとはいえ、そこはやはり神。

桁違いの美しさを放つ二人にあてられる周囲の者達。

そんな二人に吸い寄せられるように不埒な輩が集まる。


「ねぇねぇ、お姉さん達。俺達今恋人居なくて寂しいんだよねぇ〜。だからさ、ちょっと一緒にお茶するだけでいいから、可哀想な俺達にお情けくれない?」

「失せろ、下種共。」

「は?」


忙しい神様業の合間に蓮斗達へのプレゼントを選んでいる二人はナンパ野郎に構う暇などある訳もない。

我に返ったナンパ野郎はアリシアに掴みかかろうとするもすかさずレイカーが捕縛する。

それもお互いの手足で関節を極め合い、外から外してもらわない限り極まり続けるというものを三塊作る。

この間、僅か三秒。

そして強姦、恐喝、薬物、暴行などのこれまでの悪事を暴露するという洗脳を掛けてから面倒事を避ける為、天界に帰る。


「邪魔が入ってプレゼントを買えなかったけど、どうしましょうね。」

「いっそのこと、私たちで作っちゃいませんか?」

「それがいいかもね。」


そんなやり取りの後、二人はプレゼントの協議に入る。

既に18日であり作るとなると時間的にあまり余裕は無い。

その為、二人は仕事を後回しにしてプレゼントの製作をする。

先ずば何を贈るか、デザインはどうするかを話し合う。

そしてデザインが決まるとそのまま製作に入る。

最初は休憩を入れていたが期日も近づき、製作は徹夜続きになってしまった。

そう、なってしまったのだ。

この時、友神の誰かに相談していれば良かったのだが生憎そんな事はせず、徹夜の妙なテンションになった二人はいろいろとオマケし過ぎてしまった。


その結果出来たのが、ATK+200、DEF+200、MAT+150、MDF+150、AGI+250、DEX+100、HP増大150%、MP増大200%、回復量上昇(特大)、MP回復量上昇(特大)、MP消費量減少(極大)、全異常耐性(極大)、全物理耐性(極大)、全魔法耐性(極大)、無詠唱付与、etc、etcの腕輪。


物凄くやばい性能になってしまった。

これを使えば三歳児でもBランク冒険者にも勝つことが出来る。

こんな物を蓮斗達が持ってると知れ渡ったら世界から味方が居なくなってしまう。

徹夜で作った後気絶するように寝て起きた二人は我に返る。

神器、余裕で超えてね。と。

そんな訳でこれはお蔵入り。


しかし時刻は既に25日の午後2時。

二人は悟る。

このままだとプレゼントが渡せなくなると。

慌てた二人は蓮斗がいるのとは別の魔法文化のある世界にプレゼントを求めて行く。

しかし技術は発達しきっておらず、二人が納得する物が無い。

結局地球にて購入する二人。

買った腕輪に僅かばかりの付与を行なった後、蓮斗達の宿に置いてくる。


「これから溜まった仕事を片付けないとですね。アリシア様。」

「そうね。でも蓮斗さん達へのプレゼントを渡せたんだもの、安いものよ。それに、これくらいなら一週間もあれば無くなるでしょう。」

「そうですね。それじゃ、頑張りましょうか。」

「ええ。」


二人はクリスマスの余韻に浸る事無く仕事をする。

けれど二人は失念している。

一週間後は神にとって最も忙しいという事を。

しかし、それはまた別のお話。

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