番外編 異世界の書物
〜神界のとある一室〜
「えーと、蓮斗さんに頼まれた本はこれで全部かな?後は私のお勧めなんだけど、どれにしよう。」
ここは蓮斗を異世界に送った神アリシアの秘書をしているレイカーが収集した本を保管している部屋である。
この部屋の中には多種多様な本があり、それこそ長年愛されてきた絵本から今流行りのライトノベルにビジネス書、果ては過激な内容のHな本まである。
そしてこの部屋の主であるレイカーはある一角の前で唸っている。
そこは彼女がここ数年の間に集めたライトノベルが収容されている区画である。
そこには王道やメジャーなタイトルであるハ○ヒや○ャナ、禁書○録、SA○、ゼ○魔から最近人気のWEB小説発のG○TE、オーバー○ード、ダ○まち、盾の勇者の○り上がり、無○転生、○SOなどまで、多くの本が置いてある。
これらはアリシアの仕事が遅れている時の待ち時間に読む為に買っていたらここまで多くなってしまったという経緯があるが、それは置いておこう。
「う〜ん。よし、今回はこれとこれ、あとこれにしましょう。」
暫し悩んでいた彼女は三つのタイトルを選んだようで自身のストレージに仕舞っていく。
そして最後にアリシアから絶対に入れるようにと言われたシリーズを入れていく。
全てを仕舞った彼女はゲートを開きその中に入る。
最近、少し気になっている彼へと続くゲートの中へ。
◇
頬に何かが当たる感触がする。
それと一緒に聞こえる漏れたような微笑みの声。
それらによって微睡みの中にあった意識が覚醒する。
「んぅ、ふあぁ〜。」
「あ、起きた、レント?」
「おはよ。」
「んぅ、おはようセフィア、リリン。」
「寝顔、可愛かったよ。」
「…ん。」
どうやら二人の方が先に起きたようで少し悪戯をされていたようだ。
昨日はお祝いの後、普段より夜の回数が多かったからか、少し寝坊してしまったようだ。
頭を完全に覚醒させる為に伸びをすると
「ごはっ!」
「きゃん!」
正面からレイカーさんが突っ込んできた。
「ご、ごめんなさい。少し離れた所に繋いだ筈なんですが。」
「いや、それはいいんで早く退いて下さい。」
流石に三回目ともなると少し慣れた。
そしてレイカーさんが突っ込んできたという事はお願いしてたラノベを持ってきてくれたということだ。
「す、すみません。それとこれが蓮斗さんにお願いされてた本で、こっちが私のお勧めですね。」
そう言ってレイカーさんは本の束を渡してくれた。
「へ〜、それがレントの世界の本なんだ。なんか凄く綺麗な本だね。」
「読めない。」
「まあ、異世界の文字だしな。読めた方が問題だよ。」
「読みたい。」
「へ?」
「読みたいけど読めないから、代わりに読んで。」
「この歳でラノベの音読は勘弁して下さい。」
「僕もちょっと読んでみたいんだけど。」
「えーと、レイカーさんなんとかなりませんか?」
「そうですねー、ではお二人にも異世界言語適応のスキルを渡しますね。」
そう言ってレイカーさんは二人にスキルを付与した。
その後はレイカーさんのお勧めの本のあらすじを聞いたり、お気に入りの本の話で暫し盛り上がった後、レイカーさんは帰っていった。
そしてふと思った。
隠蔽スキルが無いとヤバくね。
その思いはその通りで少ししてレイカーさんがタンコブを作って再び降ってきた。
超隠蔽スキルを渡して来なさいと怒られたそうだ。
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