第24話 おんなのこだけの…的なお話(前編)

◇蓮斗が素振りをしている頃


ーセフィア視点ー


「ねぇ、リリン。ちょっと買い物に付き合ってくれるかな?」

「?…いいけど。何買うの?」

「実は僕の装備ってレントが買ってくれたんだよね。効率を上げる為の先行投資だ〜って言ってさ、結局5000リムも払ってくれたんだよね。だからそのお礼に服を買ってあげたいんだよね。」

「服?」

「そう、服。レントって全然服持ってないんだよね。そ、それでデートの時に〜、その、着て欲しいかな〜って。」


やっぱりちょっと照れるよ〜。

でも、昨日レントがアリシアさんから村人の服と旅人の服を貰ったって言ってたんだよね。

それで詳しく聞いてみるとその二つとこっちに来た時に着てた服しか無いみたいだし、やっぱりレントにはカッコ良くいて欲しいよね。


「デートの時、服とっても重要。」


そう言ってリリンが食いついた。

それにしてもやっぱりリリンは可愛いよね。

顔は小さいし、背も低いし、普段は物静かだからこういう時のギャップがまた可愛いんだよね。

う〜、ちょっと自信無くなりそう。

でもレントは私の事好きだって言ってたし、そ、それに、よ、夜も、あ、愛してるっ言ってくれるもん。

だから頑張ろう。

これからも一緒にいる為に。

あ、でも今はレントの服だよね。


「それじゃ、行こうか?サイズは一緒に防具を買った時に大体は把握してるから。」

「ん。すぐ行こう。」


そう言ったリリンは出掛ける準備をさっさと済ませると早く行こうと目で訴えてくる。

やっぱり可愛いね。

リリンの催促に応える為に僕も支度を済ませて一緒に宿を出る。


◇蓮斗がへばってる頃、セフィア達は


「ねぇ、これなんてどうかな?」

「こっちのも良さげ。」


レントの好みとか分からないけど、やっぱり動きやすい方がいいよね。

それに新しい服を買ってなかったから多分服にはあんまりこだわってないと思うからシンプルな方がいいかな。


「セフィア。これ着たらきっと可愛いくなる。」

「え、可愛いって……それ、着せるの?」


リリンが持ってきた物、それは所謂着ぐるみパジャマと呼ばれる物。

その狼タイプだった。

それはかつての召喚勇者や異世界からの迷い人が製作し可愛いと人気が出たものだ。


「皆で着よう。」

「え、でも僕、尻尾とかあるから変になっちゃうよ。」

「大丈夫。獣人用のもある。」


そう言って見せた物は確かに耳用と尻尾用の穴が空いているものだった。


「うーん。そういう事なら。それにレントが着てる所は見てみたいし。」

「ん。分かった。」

「じゃあ、次はその、で、デート用のを選ぼうか。」

「ん。かっこいいの選ぼう。」


◇蓮斗が素振りを再開した頃、セフィア達は未だに服を物色していた。


「うーん。これは駄目かな。あ、これは似合うかも。でもこれちょっと高いかな。なかなか手頃なのが見つからないな〜。」

「こっちのは素材が悪い。これは値段と釣り合ってない。」


リリンも難航しているみたい。

一応レントの普段着用のは幾つか選んだけど、デート用のはやっぱり高いよね。

いっそのことデート用のも古着コーナーで買おうかな?


その後30分以上見てたけど良いのは見つからなかったな。

それで他の店も見てみようと思って会計をしてみると予想以上に高い。

というかどう考えても着ぐるみパジャマが高いよ。


結局、リリンが殆ど払ってくれたけど、これでお礼になるのかな?

いや、ちゃんと普段着用のは僕が払ったし。

2000リムだけど。

でもまさか、着ぐるみパジャマがあんなに高いなんて。

レントのが3000リムで僕達のが2500リムで8000リムもするなんて。

リリン、お金大丈夫かな?

一応リリンに聞いてみるとDランク冒険者は伊達じゃないって。

リリンに甘えてばかりじゃ駄目だから僕も明日はレントと一緒に訓練しようかな。

でもその前に


「ねぇ、リリン。デートの下見も兼ねてお昼にしようか。」


明日の為にもまずはご飯かな。

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