第4話 異世界のお宿的なお話

門の所まで行くと門番さんに話しかけられた。


「そこの旅人。身分証はあるか?」


狸はいいのか?と思い肩を見ると見当たらなかった。重さは感じるのに。


幻覚系の魔法も使えるのか。

そうと分かれば門番の対応をしよう。


「いえ、持ってないですけど。」

「そうか。じゃあ通行証を発行するが、その前に少し軽い審査をする。いいか?」

「わかりました。」

「それじゃ、こっちの詰所に来てくれ。」


そう言われ、門番さんについていき小さな小屋の詰所に入りそこで町に入る目的や名前、犯罪歴等を触れている者が嘘を吐くと赤く光るという水晶玉を使って審査された。


そして俺は水晶玉が赤く光る……なんて事はなく、無事に通行証を手に入れた。ちなみに通行証は千リム。つまり銀貨1枚だった。


今は17:39分。空が赤くなり始めていることだし宿を探そうと思い門番さんにオススメを聞いてみると紅い帽子亭が安くて飯が美味いとのこと。


門番さんに教わった通りに道を進むと屋根が紅い帽子になった家の看板を提げた宿屋があった。


宿の中にはいると「いらっしゃいませー。」という元気な声と共に紅い髪をポニーテールにした13歳くらいの女の子がやって来た。まだあどけなさが残るが可愛らしい少女だった。


「いらっしゃいませ。お兄さん。お食事ですか?それともお泊まりですか?」

「泊まりでお願いしたいんだけど、1泊幾らかな?」

「朝食と夕食込みで1泊500リムで前払いです。ご飯は1階の食堂で朝は6時から9時まで。夜は、6時から11時まで。お昼は朝9時までに言って貰えれば1食100リムでお作りします。」

「じゃあとりあえず10日でお願いしようかな。」

「分かりました。10日で5000リムです。それと帳簿に書くのでお名前とご職業を教えて下さい。」

「5000リムですね。それと名前は風見蓮斗です。蓮斗が名前ね。後、職業は冒険者になりたいんだけど冒険者ギルドの場所ってどこかな?」


宿泊費として5000リムを渡し、ついでに冒険者ギルドの場所を聞いてみると


「レント様ですね。冒険者ギルドはこの宿を出て左に行って大通りを右に行くと左側に大きな建物があるので、そこが冒険者ギルドになります。」


と教えてくれた。


「分かった。ありがとう。今日はこのままここに泊まって、明日行ってみるよ。」

「それがいいと思います。それでお部屋ですが、2階の202号室になります。こちらが鍵になります。」


そして俺は202号室に入って行った。部屋の中にはベッドと簡単な机に椅子。そして荷物を入れる為の箱があった。


部屋の中を確認していると「コンコン」とドアがノックされた。


ドアを開けるとそこには受付の子が水の入った桶と手拭いを持って立っていた。


「どうしました?」


と聞いてみると。


「身体を拭く為の用意をお持ちしました。後、6時を過ぎてるので身体を拭き終わったら食堂に来て下さいね。」


礼を言いながら受け取りチップの相場なんかを聞きながら渡すと受付の子はありがとうございますと笑顔で言った後、1階へと降りて行った。


ドアに鍵を掛けて身体を拭く為に服を脱ごうとしてそこで肩に狸が居る事を思い出した。


狸を降ろした後に服を脱ぎ身体を拭き、狸には部屋で留守番してもらい狸の夕食用の携帯食料と飲み物を置いてから俺は夕食を食べる為に食堂に向かった。

夕食を食べてると酔った冒険者が自分の武勇伝を語ってきたのでふんふんと聞き流しながら夕食を堪能する。


夕食は門番さんの言うとおり美味しかったです。


夕食を堪能した俺は自分の部屋に向かった。

鍵を開けて部屋に入ると


「キャッ!?」


と聞こえた。

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