第62話
霊廟の参拝が終わった後、双方の役人たちに会話の内容が伝えられる。
「友好的な解決策を」
「戦争はしない」
「今後の友好の礎になる結論を」
双方の意図はおおむね一致していたわけだ。
そうなると決着は早くなる。
つまりだ。こういった形に落ち着いた。
1 今回の事件はA国で起きた事件であり帝国で起きた事件でもあるという事で双方が管轄を持つ。
2 刑罰については帝国、A国間で犯罪人の引渡に関する条約や協定はないので、帝国は犯人を確保したA国に事実に応じた代理処罰を求める事とする。A国側は真摯にそれに応じることとする。また帝国の国民である以上過度に不当な扱いをしないこと。
3 捜査については帝国側が確保している証拠を提供する代わりに共同捜査という形にする。どちらかの捜査機関が手柄を独占することはないように配慮すること。
4 領土問題については1年以内に開催される代表会議に持ち越すこと。
5 領土問題が解決する間この土地で発生する事件については双方の司法機関共同で取り組むこと。罰則については犯人を確保した側が対応すること。またそれ含め国境警備について定期的な話し合いの場を設けること
つまり概ね今まで通りという決着となったわけだ。
「こんなもん手紙のやり取りで決着つくだろうに。この騒動と話し合いになんの意味があったんだか」
「役人は問題が起きなければそのままにしたがる生き物ですからね。まぁ、将来的に問題の解決ができる、それだけでいいじゃないですか」
それを参加者の一人から聞きつけたドーリーの感想に、Vはそう笑って答えた
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