第54話

「それで具体的に、俺たちはどうするんだ」

 その会議の最中は応接間で控えている冒険者の一団。

 そこでドーリーは言った。

「みなさんは基本雑用ですね。あと現地での護衛というか従者役」

「A国は代表団の一人にA家当主の弟だか妹だかいう人が来ますから」

「従者がいないと形にならないか」

 貴族業界において従者というのは必要性から用意するものではない。

 権力、見栄、その他諸々の虚構を維持し周りに知らしめるために用意される。

 なので現地採用の従者でも冒険者でもいいが、用意しておかないとなめられるというわけ。


「揃いの衣装とまでは行かないが、それなりにパリッとした服を用意したほうがいいな」

「僕ら・・・鎧か剣・・・いい」

 前衛職二人は鎧を着るなり武器を携えれば従者として通る。

「私は、どうしましょう?皆さんに揃えて武張ったほうがいいでしょうか?」

「好きにしたらいいと思うが、向こうから下手に文官と思われたら面倒だと思うぞ」

 ドーリーの返答。

 戦うわけではなく話し合いの場だ。お飾りの私兵と思われていほうが話は振られないだろう。

「そうですね。長銃にピストルでも差していけばいいでしょうか」


「俺らは辺境公の屋敷に転がってる胸当てでもつければ形になる。あんたもぶら下げるだけぶら下げておいたほうが見栄えはいいんじゃないか」

 同じような服装で統一するだけでもそれなりに形になるものだ。

「そうですね。上も白シャツで統一しましょうか。ありますか?ないなら用意しますが」

「ある・・・けど・・・新品・・・いい」

 見栄えの話だ。新品でまとめたほうがいいだろうということで男二人と女一人分の白シャツは決定。

「V、どうする」

「どうもこうも、まぁ、白シャツだけは用意してもらえますか?なんか用意しますから」

 そんなあいまいな答え。


 そのほかに女帝に頼まれていたこととして

「酒と菓子の用意」

というもの。これは二人で用意することになる。

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