双子の親になっちまった!? その5
『ロックトータスとゴーレムメイドの使役者の称号』
なんて物をゲットしたわけなんだけど、
「ぶっちゃけ、この称号ってどんな効果があるんだい?」
俺の言葉を聞いたゴーレムメイドは、恭しく一礼した。
「はい、私と、私が生成出来るゴーレム、そしてロックトータス様に命令をすることが出来ます。ただし、討伐系の命令は受諾出来ない仕様となっておりますのでご理解ご了承くださいませ」
仕様って……この世界のNPCって結構んぶっちゃける事が多いよな……
「討伐系っていうことは、討伐イベントの手伝いはしてもらえないって事なのかな?」
「はい。不死のスキルをお持ちのロックトータス様がイベントに参加いたしますと、ゲームバランスに支障をきたしてしまいますので、そのあたりはお察しください」
「あぁ、このロックトータスさんって不死のスキルを持っているのか」
「あと、隠蔽・同化・仙人・岩石創造など、全部合わせて108つのスキルをお持ちでございます」
なんか、煩悩の数みたいだけど……これって、ロックトータスを作成した人がノリでぶち込んだ気がしないでもないんだけど……
「じゃあ、とりあえずこの別荘の管理をお願いしてもいいかな? ……えっと……」
ゴーレムさんを呼ぼうとして、まだ名前を聞いていなかった事に気がついた俺。
「あの、ゴーレムメイドさんってなんて名前なのかな?」
「私は、まだ名前を持っておりません」
そう言うと……ジッと俺を見つめてきたゴーレムメイドさん。
……えっと、この流れって……まさか、また俺が名前を付けないといけない流れなのか?
そんな事を考えている俺を、ゴーレムメイドさんは目を輝かせながら見つめている気がしないでもない……
「パパ! ゴーレムメイドさんに素敵な名前を付けてあげてほしいのです!」
「お父様! 頑張ってくださいね」
って……クーリとフリテリナまで俺に抱きつきながら目を輝かせているし……いや、その、最悪2人に決めてもらおうと思っていただけに当てが外れてしまったわけなんだけど……
……そしてしばらく後
「ご主人様、ありがとうございます。ゴーメのお名前、しかと拝命いたしました」
俺の前で跪きながら一礼しているゴーレムメイドさん改めゴーメ……うん、ゴーレムの「ゴー」とメイドの「メ」をとって「ゴーメ」……し、仕方ないだろう、俺のネーミングセンスが壊滅的なのは今に始まったことじゃないんだから……
背後にキラキラのエフェクトまで発生させながら感動してくれているゴーメ。
「パパ! 素敵な名前です!」
「さすがお父様ですわ!」
クーリとフリテリナまでキラキラしながら俺を見つめてくるし……何、この褒め殺し的なシチュエーションは……
「と、とにかくさ……とりあえず別荘の管理をお願いしてもいいかな?」
どうにかしてこの空気から逃れたかった俺は、声を裏返らせながらゴーメに声をかけた。
すると、ゴーメはスックと立ち上がり、
「お任せください! このゴーメと5人の使役ゴーレムによって、完璧に管理してみせます!」
目の横で横ピースしながら決めポーズをしたんだけど……表情と口調がクールなままなもんだから、違和感が半端ないんだけど……
そんなゴーメの背後では、5体の巨大なゴーレム達が、ゴーメと同じ横ピースポーズをとっていた。
「……えっと、管理してくれるのは嬉しいんだけど、後ろの5人は別荘に入れないんじゃあ……」
「それもそうですわね……では」
俺の言葉に、一度考えを巡らせたゴーメ。
その右手を一振りすると、巨大なゴーレム達が、ゴワゴワと軟体化していき……しばらくすると、5体のたぬきの姿に変化していった。
「これで問題ありませんね。では、早速別荘の掃除に取りかからせて頂きます」
俺に向かって一礼すると、ゴーメと5人の狸ゴーレム達は一斉に別荘に駆け込んでいったんだけど……同時に別荘の前に
『清掃中・立ち入り禁止』
って看板が出現した。
「……おいおい、これじゃあ別荘に入れないんじゃあ……」
その看板を前にして苦笑することしか出来なかった俺だった。
◇◇
その後、しばらく待ってみたものの掃除が終わる気配が一向になかったため、俺達はロックトータスの背中からの光景を満喫してから村に戻っていった。
「でも、あのロックトータスって、常に移動しているんだろ? 次に行く時はどうやって居場所を見つけたらいいんだ?」
「あぁ、それならウチにお任せやで。しっかりマーキングしてきたさかい、いつでもご案内出来ますよ~」
村に降り立った俺に、元の姿に戻ったトリミが笑顔で教えてくれたんだけど……お、女の子がマーキングとか言うと、ちょっとアレな姿を想像してしまうんだけど……ま、まぁ、でも、マーキングっていっても体を擦り付けて自分の匂いを付ける方法もあるわけだし……
苦笑しながら家に向かおうとした俺なんだけど……
「ん?」
足元になんかゴロゴロ転がる岩がすり寄って来ていたんだ。
この岩って……確か、フオドーハから買い取った仲間キャラの1人だったっけ。
人型をした木
ゴロゴロ転がっている岩
羽毛が集まった玉
と、よくわからない3人をフオドーハに勧められて仲間にしていたんだけど、3人とも今までは常にジッとしているだけだったんだよな……
で、その岩の人は、俺の足元にすり寄って、何かをアピールしているような気がするんだけど……言葉が話せないもんだから、何をアピールしているのかさっぱり検討がつかないわけで……岩が、何をアピール……って、ん? 岩?
そこで、俺はあることに思い当たった。
荷物のストレージから、あるものを取り出した俺。
取り出したのは、ロックトータスの岩石だった。
別荘を作る際に出たロックトータスの岩石ゴミなんだけど、何かの役に立つかも知れないと思って回収しておいた物なんだけど……俺がそれを手にすると、岩の人が急に飛びはね始めた。
「お前、これがほしいのか?」
試しに、ロックトータスの岩石を岩の人に差し出すと……岩の人ってば、ロックトータスの岩石をむしゃむしゃと食べ始めた。
食べ始めたといっても、捕食音がするだけで、口とかは出現していないんだけど……それでも、ロックトータスの岩石はあっという間に岩の人に取り込まれていった。
「お前……そんな物を食べて大丈夫なのか?」
心配しながら見ていると……岩の人の体が光り輝きはじめて……
「……ふぅ、ようやく存在進化出来たのね」
……って……え?
なんか、いきなり女の子の姿に変化したんだけど……
唖然としている俺の前で、岩の人はにっこり微笑んだ。
「改めまして自己紹介しますのね。私は岩石亜人なのね。いろんな岩を食べることによってどんどん存在進化するので、よろしくお願いしますのね」
「岩を食べると存在進化する……ってことは、ロックトータスの岩石を食べたから人型に存在進化したってわけなのかい?」
「はいなのね! この岩にはゴーレム化しやすい特製が含まれていたのね」
そういえば、この岩を使ってゴーメが狸ゴーレム達を生成していたっけ。
「って、ことは、食べた岩によっていろんな属性を持つことが出来るってわけなんだ」
「そう言う事なのね! よろしくお願いするのね!」
俺の言葉に、嬉しそうに微笑む岩の人……
「あ、あのさ、岩石亜人じゃあ呼びにくいから名前を教えてくれないか?」
嫌な予感がしながらも、そう聞いてみた俺なんだけど……そんな俺を、岩石亜人さんは目を輝かせながら見つめていて……
あ、これってあれですね……やっぱり俺が考える流れなのね……
額に嫌な汗がつたうのを感じながら、苦笑する事しか出来なかった俺だった。
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