第44話 信頼

「おーい!」

私達が河原のサイクリングロードを歩いていると

遠くの方から大村くんが駆け寄って来ました。


「大村!大丈夫か!?」

池崎くんがそう言うと

「何が?」

大村くんは不思議そうに答えました。

「お前が松島さんに拉致されたって、町村が」

「拉致なんて言ってないでしょ!」

私は慌てて訂正しました。

「松島さんなら、その辺に・・・」

大村くんは辺りをキョロキョロ見まわしました。

でも、それらしき人影は見当たりませんでした。


「それより、どうでした?」

大村くんが向き直って、先輩に聞きました。

先輩は黙って、首を横に振りました。

「そうですか・・・」


「そっちは?」

池崎くんが尋ねると

「松島さんが上山さんと話してくれるって・・・」

「そっか・・・

 大丈夫かなぁ・・・」

池崎くんが心配そうにそう言うと、先輩は

「大丈夫!」

自信満々にそう答えました。

「松島くんなら、きっと上手くまとめてくれるよ」

先輩はやっぱり、松島先輩を信頼しているようです。


「児玉」

暗がりの中から松島先輩が現れました。

「今日もやんのか?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る