第39話 どうする気だ

オレが部室から出ると、大村が物凄い形相で歩いて来た。

「おう。どうした?」

「松島さん、1年が3人辞めました。柿崎も入れて4人」

突然のことにオレは驚きを隠せなかった。

「理由はわかりますよね」

オレは何も言えなかった。


大村はそんな俺の横を通り過ぎようとした。

オレはとっさに大村の腕を掴んだ。

「どうする気だ」

「上山さんに文句言ってきます」

「何言ってんだ。そんなことしたら何されるかわからんだろ!」

「もうどうなったって構いません!

 とにかく一言言ってやらないと気がすまないんです!」

「バカ言うな!もしボコられて、肩や肘を痛めたらどうする!」

「構いません。こんなチームで投げたいと思いませんから」

「お前が構わなくても、チームは困るんだよ!

 俺も困る!大事な相棒をみすみす怪我させられる訳ないだろ!

 お前はエースなんだぞ!」

大村は黙って俺を見ていた。


「大村。ちょっと顔貸せ」

俺は大村の腕を掴み、無理矢理、

大村を河原のグラウンドまで引っ張って行った。


「さすがに今日はやってねぇか」

「えっ?」

「児玉と池崎はどうした?」

「辞めるって言った奴らを追いかけて行きましたけど・・・」

「ふっ。アイツらしいな」

「てゆうか、松島さん、ここでの練習のこと知ってたんですか?」

「アイツ、不思議な奴だよな。普通だったらとっくに辞めてるだろ。

 人一倍練習して、それでも全く上手くならない。

 みんなにバカにされて。

 よっぽど野球が好きなんだろうな・・・。

 あいつもそうだったんだよ。上山も・・・。」

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