おかえり、愛しい人

作者 機人レンジ

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★★ Very Good!!

最後までドキドキしながら読ませてもらいました。
クローン技術が生み出すのは、フランケンシュタインの怪物よりも美しくて残酷な存在なのかもしれません。
主人公の父の長い告白から物語は語られていきますが、『僕』が最後に取った行動は実に衝撃的でした。
オススメです!

★★ Very Good!!

愛した人のかけらを集めるように、その血を未来に残したいと望んでしまうのは人間のさがなのでしょうか。

同じ遺伝子を持っていても、記憶もなければ育ち方も環境によって変わります。それでも、その肉体をそばに置きたいと思ってしまうのは、もういちど「おかえり」と言いたいと思うのは、罪なのでしょうか。

読み終えても、問いが頭をめぐっています。

★★★ Excellent!!!

主人公は十年前、父親に婚約者を殺された。そして、父親も自殺……そんなミステリーのような話から本作は始まる。

本作の主軸は、父親の遺書に書かれている内容だ。
そこには父親の犯した罪が余すことなく書かれている。

私は本作を読んでいて途中から涙が止まらなくなった。

間違っている、と断罪することは簡単だ。しかし、そんな言葉で片付けるのは、あまりにも乱暴だと思う。

この罪は、きっと神にしか裁けない。人間が裁くにはあまりにも難しい。
私はそう思う。

★★★ Excellent!!!

ぞくりとする面白さです。

SFというのは、あるかもしれない未来に連れていってくれるジャンルだと思っているのですが、その『あるかもしれない』がとてもリアル。

一途すぎる愛情の果てに、父親はとんでもない罪を犯してしまう。その告白がメインとして綴られます。

それで終われば、うんうん、なるほど、で読了となったのですが、私が『ぞくりとする』と感じたのはその先にありました。

父が成してしまった罪。その最後の仕上げが、息子の時代には容易く成せる物になっている。この事実。SFって凄い!

皆さんはどう感じられるでしょうか。是非、感想を!

★★★ Excellent!!!

SFは個人的にあまり読まないわたしですがクローンとなるとなんとなく引きつけられてしまいました。SFでもあるが怖くもあり、現代?と言うかヒューマンドラマとしても言えるのではないでしょうか。

クローンは人間でやることは禁止されてるんでしたっけ?でもいつかは試みる人がいるでしょう。
人間の欲は怖い。そう言うのがわたしは好きなのでとても面白く読ませていただきました。

★★★ Excellent!!!

妻のクローンを作った研究者が、息子の恋人を殺し、自死した。
この小説は、自死した研究者の遺書である。

研究者は罪を犯した。
妻の死に耐えられず、そのクローンを作り始めたのだ。
しかし、彼は途中でハタと気づく。
妻が残してくれた息子を守ることこそが、妻への愛ではないのかと。
しかし……。

受け入れがたい事実。死だけはもう取り戻せないのだ。
しかしここに、本来取り戻せないものを取り戻せてしまえる人物がいる。
クローン研究者。彼はやってはならない禁忌をおかす。

彼の過ちの発端には愛情がある。そして弱さがあった。
最先端の技術という硬質なものと、愛情という不定形なもの。
その混ざり具合が絶妙な良作である。

カクヨムのSFといえば機人レンジ。
一話読み切り。是非、ご賞味あれ!

★★★ Excellent!!!

父の行い(過ちとは書きにくい)による産物を、偶然か運命か背負ってしまった息子に降りかかる悲劇。
恋人の出自。
そして結末。
運命的に連なってしまう「彼女」の存在こそが悲しいです。
ほの暗い未来が暗示されるような場所で産まれる、最後の「彼女」。今度こそ平穏に生を全うしてほしいです。

★★ Very Good!!

 今から三十年ほど前。
 敢えて名前は伏せるが、アメリカ合衆国のとある有名な医科大学が一つの実験を試みた。
 先天性の障害に無脳児という形態異状(※れっきとした医学用語であり、数年前に別な表現から左記の通りに改められた)が存在する。文字通り、大脳の大半が最初から存在しない胎児である。
 大半は出産前後に死亡するが、当該大学はその無脳児の内臓を、別な……脳以外の……形態異状を持つ新生児に移植しようとするものであった。例えば、生まれつき腎臓の具合が良くない新生児に、無脳児のそれを移植する、という具合に。
 結論から述べると、この計画はほぼ完全に失敗した。マスコミに公表した直後から、当該大学はあらゆる非難にさらされた。そもそも移植手術そのものをほとんど実行出来なかった。
 翻って、本作。中世的な因果の巡り合わせと、現代的な倫理観と、近未来的な主義主張が恐るべき(この表現がこれほど明確に当てはまる作品も珍しい)力量によって混沌の一致を果たしている。いつまでもいつまでも、戦慄に満ちた産声が轟き続けるだろう。
 詳細本作。

★★★ Excellent!!!

大事な人を失ったとして、もし、自分にその人を蘇らせる力があったとしたら、どうしますか。

それがもし、魔法で、『その人』が生き返るんだったら、私は間違いなく生き返らせると思います。
だけど、このお話はそんなファンタジーじゃないんです。
クローンで蘇らせるんです。つまり、厳密には、『その人』じゃないんです。

でも、それが出来る環境があったとしたら……?


『おかえり、愛しい人』
このタイトルもまた秀逸です。

★★ Very Good!!

クローンという未来的な題材を使っているが、テーマの中心は昔から変わらない『死んでしまった愛する者への執着』である。

技術が不可能を可能にしてしまう未来、そこには何があるのか? というSFの王道を叙情的な表現とストーリーで描き出している。

個人的にはとてもお気に入りの一作だ。



★★★ Excellent!!!

 父親に婚約者を殺された主人公。凶行の末自殺した父親の遺書から、その動機が明らかになっていくのだが――

 生命と科学者たちの暴走。ラストまで読んだとき、あらためてタイトルを見て鳥肌が立ちました。わずか9千字とは思えない重厚なSFストーリーです。ぜひ読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

愛しい恋人が自らの父によって殺された事から物語は始まります。
そして、主人公は父の残した遺書を読み、その罪深かき父の所業と恋人が殺された理由を知る事になります。

凄く濃厚なSFストーリー。
生命に対する倫理観を考えさせられると共に、進み過ぎる科学の罪深さを感じました。

是非、ご覧ください。

★★★ Excellent!!!

 クローン生命を題材とした作品から切っても切り離せない倫理観の話、アンド、古典文学の時代から語られ続けてきたエディプス・コンプレックスを上手く1万字弱の物語の中に落とし込んだ作品。
 クローン技術が生まれ、AIが台頭し、この物語を載せるインターネットという媒体が公然のものとなっている21世紀の、新たなる『オイディプス』です。

★★★ Excellent!!!

凶行の末自殺した父からの遺書で始まる書簡体小説です。
読み進むうち明らかになる凶行の理由と理不尽な運命。主人公に同情心を抱きますが、それらをひっくり返す結末が読者に待っています。SFホラージャンルとしても、ショートショートとしても秀逸です。

科学者達の狂気の連鎖が引き起こす悲劇。既に個人でもヒトゲノム編集が可能になった現在、この様な事件もあり得ない話では無くなっているのかも知れません。

★★★ Excellent!!!

一行目から壮絶である。

読んでいるうちに自分の体温がぐんぐん下がっていくような錯覚に捕らわれた。

父も、子も、どうしてその行動を取らなければならなかったのか。
そこに至るまでの事情と心情の変化が丁寧に描かれている。

特に、父が悲願を叶えるために作業をする過程は臨場感がある。
他の研究者との駆け引きの場面にはハラハラした。
研究所の様子や技術の説明などもリアリティがある。
倫理の問題も無視せず描いているところに好感が持てた。

彼らの行為は本当に罪なのか。
果たして誰がそれを糾弾できるというのか。
生命の定義とは。人間の定義とは。
「神から彼女を取り戻したい」という言葉が胸にしみる。

わずか9,184文字のなかに過不足なくつづられたドラマは、さながら映画のようである。

最後の一行に親子の深い因果を感じ、
改めてタイトルを見て、また少し、体温が下がった。

★★★ Excellent!!!

この物語が突きつけてくるのはどこまでも正義と愛なんですよね。正義とは何か。愛とは何か。守るべきものとは何か。その問いを全力で読む者にぶつけてくる。そして全ての行動の根本に各々の思い、信念という一貫性がある。だからこそ美しいし、短編小説とは思えないきりりとして重厚な読後感を生んでいます。筆者がぶつけてきた問いの意味を、ぜひ、あなたの目で確かめてください。

★★★ Excellent!!!

冒頭からとてつもない事態が発生します。
父親が自分の婚約者を殺したのです。

「え? どういうこと?」

そう思い読み進めます。頭の中には父の変質者的な部分を思い浮かべながら。
しかし父はとても優れた立派な人だった。

「じゃあなんで?」

物語の核は「どうして父は息子の婚約者を殺したのか」という部分。

父親の手紙視点で語られるそれは、とても写実的で、その場に自分が居合わせたかのよう。

父の独白にどんどんと引き込まれ、物語はいくつもの問いを読んでいる私にしてきます。倫理観、道徳観、概念、既知と未知、善と悪。そのどれもに、私は答えられないまま、最後の一文で鋭く切り付けられました。

この倫理の刃を、あなたは受け止められますか……?