第83話 位置情報
「おおっ!」
思わず漏れた歓声。とっさに自分の口を手で押さえる。
そっとジョナマリアさんの方を見るが、遠目には寝ている様子。
──危ない危ない。危うく睡眠の邪魔するとこだった。いやでも、これはすごい! 何とSSレアのユニットが7つだよ!
私はスマホ画面を見ながら、にまにましてしまう。
──地域限定ガチャって、そういう物なのかな? このリザルト画面を見ると、どうも種族名ってよりは名前っぽいよな。個人名がついたユニットって初だ。それにロックって何だろう?
私は再びスマホをガチャ画面にしてみる。
──あ、地域限定ガチャは選択出来るけど、ユピテルの叡知ガチャはグレーアウトしている。キミマロとかがグレーアウトしたときは復帰までの時間でたけど、今回はないな。
私は何度となくグレーアウトしたユピテルの叡知ガチャの周りをタッチしたり、スワイプしたりするが、何も反応しない。
──これはあれか。各地域限定ガチャは一回しか回せないっぽい。もしかしたらロックを解除する方法があるのかも知れないけど……。そう考えると、最初に回せるだけガチャ回しておいて、実は大正解だったかも? まあこのパルマって名前のユニット達がどれくらい使えるかだけど。でもSSレアだからな。相当使えそう。
私はそっと寝袋から出る。
──ジョナマリアさんが起きちゃうだろうから、こっそり離れて取り敢えず一体だけども召喚してみるかっ!
スマホ片手に物音を立てないように、ゆっくりと一歩踏み出した時だった。野営地に響き渡る金属音。
それはいつもみたいに見張りをしてくれていたディガー達がスコップを石に叩きつける音。
しかも、緊急時のそれだった。
カンカンカンカンと鳴り響いた音がやむ。
私の目の前にどこからともなくショウが現れ、斬馬鋏を構える。
まるでそれが合図だったかのように、空を黒い影が覆ったかと思うと、何か大質量のものが、野営地に落下してくる。
響き渡る振動。
立ち上る砂煙。
ショウが巨大化させた斬馬鋏で、ハイヌ──犬顔グリフォン──の牙を押さえ込んでいた。
ハイヌの着地の衝撃で尻餅をついてしまった私。
そのまま上を向くと夜空を旋回する無数の黒い影が。
「あれ、全部ハイヌかっ!」
その空の影のうち一体、急激に大きくなる。
──こちらに向かってくる!
とっさにスマホを持った手を、握りしめる。
リザルト画面になっていたスマホに指が触れる。
ウィンと音を立て、私の目の前の空中に光が現れる。それはちょうどハイヌが落下してくる、正面。
光は七つの魔法陣を形づくる。
七つの魔法陣、それぞれから金色に輝く鎖が飛び出す。それはそのまま正面に迫るハイヌに絡み付いた。
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