第79話 避難先
「ぉあっ! ごめんなさいっ」
ばっと腕を離す私。
「いえ。ありがとうございます、空では支えてくれて」と一歩身を引きながらこたえるジョナマリア。
「やっぱり地上までは降りてこないみたいですね」
とあたりを見回しながら話し続ける彼女の隙を見て、私はこっそり取り出したポーションを足首に振りかける。
咄嗟に抱えて飛び降りたは良いが、人ふたり分の重さでじんじんと痛み始めた足首。ポーションが触れた部分からでスーと痛みがひいていく。
私はキミマロに労いの言葉をかけるとスマホに送還し、ディガー達と血吸いコウモリ5匹を呼び出す。
周囲の警戒と夜営の場所探しをお願いする。念のため、上空から目立たない場所でと要望も伝えておく。
そして私自身も夜営に向けて準備を始める。
私がスマホに向かっている様子を興味深げに見守るジョナマリア。
(な、なんだか見られていると緊張する……。いやいや、雑念は振り払って)
「あー。今、夜営に向いてそうな場所を探してもらってますんで」
「はい。その魔道具、すごい多彩な機能があるんですね。宝玉を捧げたスキルもクウさんは魔道具に付与されていましたし」
とジョナマリア。
──あー、そういえばジョナマリアさんには魔道具って説明してたよね。それに宝玉で手に入れた簡易鑑定アプリもばっちり見られていたし。それだけ見ていて、さらに今回の旅の様子を見ていたら興味をひかれるのも仕方ないけど。
私は何と答えようか必死に頭を回す。
──いや、何を言ってもペラペラと喋りすぎちゃう未来しか想像できないよっ
ちょうどそこへディガーがやってくる。
満面の笑み。
元気一杯のサムズアップに、夜営地候補が見つかったのが伝わってくる。
「ジョナマリアさんっ、夜営候補が見つかったみたいです。行ってみましょう」
とそっとスマホをしまって歩き出す私。
ジョナマリアさんも取り敢えずはついてきてくれる。
しばらくディガーの先導で歩く。人の手の入っていない森は歩きにくい。
苦労して藪をかき分け、開けた先。そこには、崩れかけの祠のような物が建っていた。
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