愛するこたつガール [230文字]

 私には雲の上の人だった。

 博士に憧れ、日本語を勉強し、そして助手にまでなれたのは幸運としかいいようがない。


 だから、そばにいられるだけで良かったんだ。

 それなのに、隣に居られるようになった途端、次を望んでしまうようになった。


 飲み込み、押し込めてきた気持ちが溢れ出したのは、博士が新たに発見された惑星への派遣調査員に選ばれたからだった。



「ずっと、貴方の助手になる前から、ずっと、貴方のことが「待って」


「え?」


「それより先は、帰ってきてからにしてくれ」


「どうして」


《キミは私のこたつだから》


「コ、タツ?」


「そう。だから、今はダメ」


 私の額に口付けて、博士は旅立ってしまった。



 その言葉の意味を知ったのは、博士と初めてこたつに入った時だった。




【一度入ったら、抜け出せないから】




お題:雲・宇宙・こたつ

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