第10話 仲間と敵

...一日の仕事を終えた龍一郎は帰路へついた...

その時 エンジンが止まった...

龍一郎は慌ててハザードを出しエンジンキーを回す

キャビンをチルトさせて エンジンルームを見た...

「う~ん...やっちまったか...こりゃ燃料系かな...」

龍一郎はレッカーを呼んで 修理工場へ向かった...

作業員はしばらくエンジンをバラした後龍一郎に言った

「インジェクションポンプの故障ですね またガバナのバネの寿命も来てます 交換をお勧めしますが?」

「ああ 替えてくれ 純正部品は幾らする?」

「時価になるので私の方でも分かりません」

「そうか...工賃の見積もりもかかるのか?」

「はい」

「分かった 修理期間は何日かかる?」

「今うちの方で修理に6台も入ってるんです 多分二週間は入りっぱなしだと思いますので...少なくとも3週間はかかります」

「分かった 俺のダンプを頼んだぞ!!」

...龍一郎はタクシーで洋館へ帰った...

次の日は日曜日だか 龍一郎は実に暇で仕方がなかった...

移動手段が無いのだ...

転生し悪魔になっても魔力が無さすぎるので転移も出来ない...

龍一郎は足車が欲しくなった...

その事を4人に相談し 大通り沿いの中古車屋へ向かった...タクシーで!!

中古車屋へ到着し龍一郎の目に一台の未使用車が飛び込む

僅か800kmの走行距離の一年落ちの新型ヴォクシーだった...

龍一郎は一目惚れし すぐにでも乗って帰りたいと思ったが 4人にどう説明したらいいか分からなかった...

...やがて龍一郎の周りに4人が集まる...

「ねぇ...?結局何にするの?」レミーナは少し不機嫌そうに言った

「あらあら...もう1時間くらい見て回ったわね...」サーリンが両手を擦りながら言った

「う~ん...これなんかどうだ?」

「これ?300万円もするのよ?本当に買っちゃうの?」

「い...いやその...エコカー減税もあるし 燃費もいい方だよ...」

龍一郎は少し焦った...

「ふ~ん あ...あたしは別に構わないんですよ?」マリナスが言った

「ならば 買っちゃおう!!」

そこから龍一郎は納車手続きをし陸運局に届ける

しばらくして龍一郎に電話がかかってきた

昔とある現場で知り合った重機オペの矢場からだ

「もしもし?龍さん?助けてくれ!!」

「どうした?矢場ちゃん?一旦落ちつけ!!ゆっくり説明してくれ」

「今さっき峠道でタンクローリーに煽られ殺されかけた!! 」

「なんだと?今どこにいる?」

「今は越赤峠の下の電話ボックスに居る!!迎えに来てくれ!!」

「分かった!!今から行っちゃる!!」

「すまない!!だか早く来てくれ!!」

龍一郎は路線バスに乗り手続きをサーリン達に任せ越赤峠へ向かった

バスターミナルに到着し龍一郎はタクシーを捕まえた

...やがて龍一郎を載せたタクシーが電話ボックスに着く...

矢場を迎えに行き 修理工場に電話をかけ 矢場のバイクを軽トラに積ませると二人はタクシーで帰った...

タンクローリー...なぜ矢場ちゃんを...

龍一郎は外を眺めながら考えた...


...やがて ヴォクシーが納車された...

龍一郎は早速 ドライブへ行こうとしたその時 九重が服を引っ張った...

「ねぇねぇ~あたしも乗せてよ~龍さぁん~」

九重が甘えてくる 龍一郎は困った...

「う...分かった!!横に乗れ!!」

その時 サーリンも出てきた...

「あらあらもう来たのね...九重も乗るのなら私も乗せてもらうわ...」

サーリンは微笑みながら言った

「わ...分かったよ!!」

龍一郎はヴォクシーのハンドルを握り エンジンキーを回す

メーターの照明と共にヴォクシーが目覚める

龍一郎は早速 越赤峠へ走った...

登りは何も起きなかった...数台のレジャーとツーリングに来てたバイクとすれ違った...

下り道で それは起きた...

龍一郎はミラーを見ると 白色のグレートのボロボロのタンクローリーが後ろについてきた...

...血腥い匂いが漂う...

「やばい...こりゃ本物や...」

龍一郎はアクセルを踏み込むが加速が負けてしまう

ヴォクシーのリアゲートにグレートが激突した...

その衝撃でサーリンと九重が目を覚ました...

「なによあれ!!」

「あらあら...面倒な事になってしまったわね...」

龍一郎は無言で峠を下った

グレートはまた迫ってきた...

2度目の衝突でリアガラスが割れ リアバンパーが外れかけた...

新型ヴォクシーは恐ろしい速度でバンパーを引きずりながら峠道を走る

グレートもガードレールを擦りながらヴォクシーにパッシングする...

龍一郎はミラー越しにそのグレートを見る...

ナンバーが複数 フロントガラス部分に置かれ バンパーやフロントパネルが幾度の衝突により錆と傷でボロボロだった...

ところが長い下り坂が迫ってきた...

龍一郎がエンジンブレーキを使おうとした瞬間 グレートがまた押してきた...

それどころかさらに加速してゆく...

龍一郎は全力でブレーキを踏み込む...

ブレーキディスクが真っ赤に焼けるが徐々にふわふわする感覚になってきた...

「まずい!!フェード現象だ!!」

グレートが後ろを離れたがヴォクシーは止まれない...

最後の最後に龍一郎はサイドブレーキを引く...

ヴォクシーはコーナーの土手に突っ込んだ...

やっと止まったのである...

「うぅ...あの野郎許さねぇ!!」

龍一郎は激怒した

必ず正体を突き止めて矢場ちゃんの仇を取ってやる!!

龍一郎は心内で誓った...

九重はあまりの恐怖に失神し サーリンが一生懸命になだめた...

そんな彼女たちを見て 龍一郎は更に怒りを覚える...


続く...

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