惨く

 眩い七色のネオンサインを浴び、踊る。

 麗しき「死」は、サナギのさまから脱した蝶として生き生きと駆ける。

 年若い娘相応の学生服はさながら羽根か。

 通行人は見向きもしない。

 各々が持つ携帯端末の世界に頬を緩める。

「ケラケラケラ」

 水たまりが跳ね、ソックスが泥水で濡れた時。

「あぁ」

 前方を歩く「僕」に抱きつき、白い歯を剥き出しにした。

「…………」

 信号待ちの列を指さす。

 最後尾に立つ中年の男は、ぼんやりと空を眺めていた。

 似合いもしないサングラスをかけ、半開きの口にはジュースの飲み痕が見える。

 バッグも持たず、緩んだネクタイは地に落ちかけている。

「やる」

 僕は言う。

「やって」

 彼女は嗤う。

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