第三十五話 聖戦舞祭:湧き上がる闘志2
「これで終わらせますね、ネフイーっちーー! <一直線前方放出大破猛速太氷壁(エネリアーズ)>!!」
「--!!」
バキバキバキバキーーーー!!!!
ネフィールの正面近くまで駆け寄っていったエリーゼ先輩は<グラエンズ>を突きつけて、先端から光が発したかと思うと、太く、高い氷の壁が一直線に前へと伸びて、氷の菊花に襲われてるままのネフィールにぶつかった!
カアアアアーーーーング!
「きゃああああーーーーー!!!」
伸びてきた凄まじい速度の氷壁を止められず、悲鳴を上げながらじりじりと後方へと押されつつある。
脚力で両脚を踏ん張って、押してきた氷壁に抗おうとするが、どうやら未だに彼女に付きまとっていて離れないままの<純白氷雪大輪菊花轟嵐(ネラーデイシス)>が彼女の神使力を上手く圧倒していて、どうすることもできないようだ。
「--!?あれは前の訓練場で使われていた現神術だよねー?ほら、あの重装機動戦塞(レティーネット)を凍らせていたあれー?」
「そのようで御座いますな、春介殿。あの時、重装機動戦塞(レティーネット)だけがサカラスと同程度の反神力を正確に真似ることのできる技術が古代人によって備え付けて下さったから、中級の技でありながらもかなりの威力を誇っておりますよ。」
向こうの窓の列で観戦している遼二とローザの会話が聞こえてきた。
「--くっー!」
「セッラス、頑張って下さいましー!追加攻撃とはいえ、オスーハイトの放ったあれはただの第3階梯のものでしてよー!神使力をもっと集中し開放しなさないー!」
カッカッカッカッ.......
両足の靴に力や神使力も集中して1CM前にまで押し返している何百個の白い菊花だけじゃなくて、もっと前にあるあの氷の壁も押し返そうとするが、それも適わずじわじわと後方にある舞台の端の近くまで押されているネフィール。
やばいー!
このままじゃ、舞台の外へと放り出されて負けちゃうじゃんー!
エリーゼとの勝負でぼろぼろになって精神への痛覚変換で気絶したならともかく、 領域外着地で敗北しちゃうと、かっこ悪く映るだろう。
「--くっ!はあああーー!」
グザーーー!
「「「--!!!」」」
突然にネフィールの取った行動に驚いている俺たち3人である。
それもそのはず、彼女がいきなり自分のお腹のあたりに自分の持っている短刀を突き刺したからー!
まあ、でも会長の現神術も発動中なんだし、物理的な傷はないにしても神経に伝わって精神的ダメージを食らっているに違いない。自分の放った現神術を自身が食らってもあまり影響が出ないとのことらしいけれど、武器である<現神戦武装>ならそうではないみたいだ。
「血迷ったのですか、ネフィーっちー?いきなり、自身の身体に傷つけちゃったりしてーーー!?」
「何とでもいっちゃっていいよ、エリー!だってー!はあああーー!!」
氷の菊花の群れのみならず、氷の壁にも押されて苦悶の表情を浮かべてるネフィールは自身に刃物を突き刺してことによって、いっそうチカチカと激痛が増すばかりで今でも倒れそうに見えるが、何を図るのか、いきなり叫びだして短刀にも神使力を通して光らせた!そして、
「<巨大暴激恐慌電光落雷一条(ノルトゥゲゼッドース)!!はああーー!!!」
ゴゴゴゴゴゴ..........
大声でそう詠唱したが早いか、ネフィールの遥か上にある空に突如として暗雲が立ち込めてきて、雷鳴が聞こえて一秒後、そこからとてつもなく太く巨大な霹靂が直下にいるネフィールに壮絶なスピードで落とされたーー!
バチイイイイイイイイーーーーーーーー!!!!!!!!
「きゃあああー!!くっ.........」
直撃を受けたネフィールは精神ダメージを食らってらしくて、比較的に小さな悲鳴を上げる。いくら術者が自身の発動した現神術に影響を最小限に受けるにしても、なんかあの規模の技だと、超利くみたいで、術者とか対象関係なしに大害をもたらしてしまうだろう。しかし、彼女がダメージを受けるのは計算に入ったような前提で、いわゆる副産物しかなかったのだ。なぜなら、その現神術を使った主な理由は、狙い通りに.....
シュウウウウウウウウーーーーーーーー
そう。
彼女の発動したあの巨大な落雷が発生した現神術により、エリーゼ先輩の<純白氷雪大輪菊花轟嵐(ネラーデイシス)>や<一直線前方放出大破猛速太氷壁(エネリアーズ)>もどっちでも綺麗さっぱり、消されたからだーー!!
でもー!
「ネフィールー!右にー!」「右脇ですわー!」「右を見ててー!」
「もう遅い!<紅玉灼熱融解(エンゲラーム)>!!」
そう。さっきの落雷で確かにエリーゼ先輩の2種類の現神術を消せたが、その閃光によって目を眩まされたネフィールーは身の回りに近づいてくる者に気づかずにいて、右脇にまで接近してきたエリーゼ先輩に咄嗟に対応が遅れてしまったーー!
ゴオオオオオオオオーーーーーーー!!!!!!!!
「きゃあああああああーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
エリーゼ先輩のロッドの先端から、濃く輝いている紅蓮の業火が放出され、一瞬にネフィールーの全身を呑み込んだ!! 燃え盛る巨大な炎に包まれてここからでは顔が見れないけど、あまりにも痛すぎるのか悲惨な悲鳴を上げることしかできずにいるようだ。ネフィール........。
ゴドーー!
会長の物理的ダメージの賜物か、煙が一切にたたないけれど、火炎が晴れると焼き尽くされて舞台の床に伏したネフィールがあそこにいる!
フシュフシュフシュフシュ...........
会長の「<物理被害の精神削痛変換(リンガ)>のおかげ様で、火傷とかあまりないように見えるけれど、それでもあまりの強烈な火災だったのか、精神ダメージ変換されて気絶したみたいで、今はうつ伏せに倒れ指一本も動かせない状態いいるようだ!
「ネフィールーーー!!!」
思わず叫びだした俺は窓を飛び越えて、試合中にも関わらずに彼女の状態を心配して直接に具合を見に行ってみようかと動き出す寸前だったが、エレンや梨奈に両肩を押さえつけられて動けない!
「落ち着いて、ルイーズ隊長!これはただの試合ですし、会長のリンガで物理的なダメージが入らないようですからそんなに心配しなくてもいいですわよ。」
「そうよ。彼女のことが大事なら、今はここで戦いの行く末を最後まで見届けるしかないわ。だから、今は彼女がどれほど痛みを訴えようとしても我慢してね、ルーくん.......」
「くっ.......」
それは百も承知だけど、なんか彼女のあんな姿を見せられてほっとけないっていうか.......
「あははははは~~~~~。どう、ネフィーっち~~~?忘れてはいないですよね~~~?ね~~?エリーはこの2年間、神滅鬼が出現してから炎系の現神術も特訓してるの知ってるよね~~? だから~~こうして氷結系だけじゃなくて炎系も同時に使いこなせるようになったんですよ~~~。さっきは第5階梯の雷系の技、<巨大暴激恐慌電光落雷一条(ノルトゥゲゼッドース)を使用してエリーの二つの技を消してみせたのは褒めてあげるほどの機転っぶりでしたけど、生憎とそれもエリーが見越してたからわざわざ近づいてまで追加攻撃を見舞いしたんですからねー!その方が技が消された時にネフィーっちの懐に入るまでの距離がもっと近くなってこの<紅玉灼熱融解(エンゲラーム)>を至近距離で苦労もなく食らわせられちゃったですからね~~~~。」
「ネフィール選手!倒れ伏して、立ち上がらないままだから、10まで数えるぞー!1-!2-!」
カウントダウンを数え始めるローズバーグ会長がそこのボックス状の特等席のいるところに席から腰を上げて右腕を突き出してるようだ。おそらく最後まで数えたら、その腕を下ろして勝者を宣言する段取りみたいだな。
くっー!ネフィール、絶対に立ち上がってくれよなー!まだ負けるに早すぎるー!もっと粘ってくれてもいいんじゃないかー!この2週間で梨奈とペアーを組んでどれほど頑張ってきたお前にその結末があまりにも惨め過ぎる。どうか、勝ってくれー!信じるよ!
「5-!6-!」
「それにしても、さっきの<巨大暴激恐慌電光落雷一条(ノルトゥゲゼッドース)......もったいなかったですね~~~~。障壁を展開する前の生身のエリー、もしくはさっきの第4階梯の障壁を使用中のエリーでも試してぶっ放してみてくれたらいいのに~~~~。それをエリーの2種類の現神術の消滅に使っちゃったとは~~~~。残念でしたね。まあ、試そうとしても、武器がターゲットに命中し突き刺ささなければ落雷の正確の位置が決まらないけどね。さっきの短刀の投擲ばかりで全部弾き返しちゃったからですね~~~~ふふふ。」
「7-!8-!」
「これでうちのエリーゼ先輩、第一試合で得点の面で先を越させてもらったなールー!ははー!」
「そうみたいですね。どう考えてもエリーゼ先輩に勝つ見込みがありませんよ。<ナムバーズ>ランキング上としてもそちらのネフィールさんが下にいるようですし、いくらこの短期間で特訓を続けてきたからって勝てるわけがありませんよ。」
あそこの窓際の列にそう挑発してきた遼二や有栖川がいるが、それで少々イラっとし、言い返す寸前に、
「春介殿に有栖川殿。チームメイトが先に我々の部隊のために勝利を収めてくれそうで舞い上がっているのは理解しておりますが、喜びをあげるにはまだ時期尚早でございますよー?」
「「--ええ?」」
ローザさんにそう言われ、はっとなった二人のようだが、それもそのはず、今、あの舞台で、
「ううううぅぅぅぅ...........こほこほーー!」
よろめきながらも、一生懸命に立ち上がろうとするネフィールが見えたからだー!
「いいぞー!ネフィールー!きっと立ち上がってくれるのを信じてたから!........で、さっきはなんと言ったかな、お二人さん? 」
「「うぐぅ......」」
目の前の出来事を見せられて何も言い返さずにいる二人がそこにいるのだった。
チームメイトの勝利で自慢ようとしたが、計算違いのようだなー!まあ、競争心があるのは認めるけどさ........お二人とも。
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