21話 酔ったらどうなる?
お酒。未成年の私たちにとって、無縁の飲み物。
たまに萌恵ちゃんが料理に使っているけど、もちろんアルコールは完全に飛ばしている。
大人になってお酒を嗜むようになった時、私たちはどういう酔い方をするのだろうか。
「萌恵ちゃんが酔ったら、すごくかわいいんだろうなぁ」
酔った萌恵ちゃん。柔らかな笑みを浮かべ、その頬はほんのりと紅潮し、あまつさえ私の手をにぎにぎしてくれたりして。
んーっ、かわいい!
無防備な萌恵ちゃんをギューッと抱きしめて何度も何度も頬ずりする自分の姿が容易に想像できる。
「どうかな~? もしかしたら酔わないかもしれないよ?」
「お酒に強い萌恵ちゃん……なるほど、それはそれで」
バーのカウンターに座るスーツ姿の萌恵ちゃんが大人の余裕を見せながらグラスを傾けているところを思い浮かべてみたら、かっこよくてドキドキしてきた。
もしも、そのまま耳元で「今夜は寝かさないからね」なんて言われたら……。
「ま、真菜っ、鼻血出てる!」
「へ? あっ、ホントだ」
コメディじみた反応を示す自分の体に呆れつつ、萌恵ちゃんが渡してくれたティッシュを鼻に詰める。
刺激の強い妄想は控えた方がよさそうだ。
鼻血が完全に止まったのを確認してから、体を横にして萌恵ちゃんの太ももに頭を預ける。
これはこれで興奮してしまうので、少しでも鼻血の気配を感じたらすぐにティッシュに手を伸ばせるよう、心の準備をしておこう。
「逆に、もし酔って普段以上にしつこく絡んじゃったら、あたしのことは無視してくれていいからね!」
「無視するなんてとんでもない。私にとってはご褒美だし、飲んだ後もお布団の中までしっかり付き合うよ」
仮に萌恵ちゃんが悪酔いして吐いてしまっても、その時は私がきちんと後片付けをする。
着替えも手伝うし、眠りに就くまでしっかり付き添わせてもらう。
まぁ、私が盛大に酔ったら話は別だけど。
「大人になるのが楽しみだね」
「うんっ。その時までに、おつまみのレシピもいろいろ覚えておくよ~」
果たして、私と萌恵ちゃんはお酒を飲むとどうなるのだろう。
心地よく酔えるのか、記憶を失うレベルで泥酔してしまうのか。
数年後、お酒を飲めるようになってからのお楽しみだ。
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