第5話 昨日の子供の言葉
私の家はマンションの二階にある。
「あそこのおうち、かわいいエプロンがいつも干してあるね。ママもあんな可愛いエプロンするといいのに」
元気で明るく可愛い、五歳くらいの女の子の声だった。丁度ベランダに出ようとしたときで、私は思わずさっと隠れてしまった。
確かにおかしい、エプロンは洗っても一日一枚、前ならば、二日に一回とか、しない時だってあった。でも多いときは一日三枚くらい干すときだってある。
この事件を帰宅した夫に報告すると、
「あー・・・うーん・・・子供ってよく見ているよね。じゃあ外じゃなくて窓際に洗濯物を干せるようにしておくよ。それなら安全」
と解決策を素早く導き出してくれた。
しかしながらどうしても一番最初は太陽光にやっぱり当てたい。太陽光でちょっと布が「ぱりぱりした感じ」になると言っても、可能であるなら洗濯ものは外に干したい。だが、このエプロンの形状は大人が見たら「おかしい」と思うかもしれない。それと今までに干されたエプロンの数で、導き出される回答は大正解か、「おしい!」のどちらかしかないだろう。
「どうしよう、これから先・・・コインランドリ―なんてそれこそ絶対ダメだし、いや、とりあえず、今日はこのエプロンを隠さないと」
普段は物干し台にハンガーで吊るして干すのだが、その日はポケットの部分が道路側でなくて窓側をむくようにして物干しざおに直接干した。
「そうか! こうやったら完全に隠せるか! 一安心! 」
昔の洗濯物の干し方だが、私には温故知新で、本当にこの方法に感謝をささげた。
「昔の人も、もしかしたらこんなことを・・・」
と思わなくもなかった。
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