第7話:セカンドステップ
蒼流の棋士を巡る一連の騒動はあったが、
類似名称のメガフィールドも通り道で目撃するのだが、そちらとは広さの桁が違う。
その規模は、中規模の二階建てゲーセンと大手のアミューズメント施設の差と言える。
置いてある機種は様々あるのだが、舞風の目的とするのはARゲームと言うよりは若干VRゲーム寄りの作品だった。
様々なゲームの音楽が流れ、爆音状態になっているような店内というのはゲーセンでは当たり前な光景に見えるのだが、ここでは違っている。
ゲームをプレイするまでは音楽が流れない訳ではなく、音量が若干控えめ設定になっているのだ。いわゆるエコモードで稼働しているらしい。
店内は筺体が寿司詰め状態だったような昔のゲーセンとは違って、ある程度のスペースが確保されている様な気配がした。
この辺りは大手のアミューズメント施設等と同じように、ARゲーム専用ゲーセンでも運営許可が必要なのかもしれない。
ただし、屋外で展開されるような一部事例は例がと言う扱いだろう。こちらも別に道路の使用許可等が必要かもしれないが――。
(もしかすると、これかな)
舞風が発見した筺体は、どちらかと言うとシューティングゲーム等の筺体を連想させる。
縦長モニター、中央にはジョイスティック、ボタンが左右に三つで合計六つ。こちらにもガジェットスキャン用の機械が設置されていた。
ゲーム画面には『リズムランニング・パルクール』とタイトルが表示されている。どうやら、リズムゲームのようだ。
実際に舞風がプレイするような様子はなく、デモ画面を見ていたのみ。マルスの方も気になってはいたようだが、特に興味がある訳でもない。
【コラボ実施中】
デモ画面が流れている際に、流れてきたデモの一つにコラボイベント紹介の物があった。
そのコラボ先と言うのが――予想外の作品だったのである。
(これは、まさか――)
その画面を見て驚いたのはマルスの方であり、舞風の方は特に驚く表情は見せない。
どうやら、これをマルスに見せようとしていた可能性も否定できないが――。
舞風がSNSを検索し始めたのは、その翌日である五月十一日の事だった。
実のノートパソコンで検索するも特に思い当たるタイトルもなく、このままでは振り出し以前の問題だろう。
マルス以外の人物を検索した方が早いのか、それともマルスの登場作品を仕切り直すべきなのか。
その中で、一階の部屋では家庭用の格闘ゲームをプレイするマルスと私服姿でやってきたハヤト・ナグモの姿を確認できる。
ハヤトの方はやる事がないので舞風の家に立ち寄ったとの事だが、彼が持ってきたのはコンパクトな家庭用ゲーム機と格闘ゲームのソフトである。
そのタイトルを見ても、マルスは何も感じなかった一方で、ジャケットイラストにマルスの姿があった所には興味があった様子。
「こちらもやる事はやってみるけど、さすがに市内でヌァザを呼びだせば色々と大変だからね」
「姿を消せば大丈夫なのでは?」
「それが出来れば苦労しないよ。実際問題、それが出来ればトータルバランスは崩壊するだろうね」
「ステルスがあれば、ヌァザを使えると言うのに?」
ハヤトの方も色々と動いているようだが、それは巨大ロボットであるヌァザを呼びださない範囲だった。
平日でも呼びだせばガーディアンに警戒されかねないのに加え、土日であればギャラリーが増えて偵察がやりづらい。
ヌァザにはステルス機能のような姿を消せる要素は劇中でも行っていないので、それをやるのは無理のようだ。
「レッドカイザーみたいに電脳空間へ入られる能力がある訳でもないし」
ハヤトの何げない一言を聞き、マルスは何かを思い出したかのようにゲームをプレイする準備を始めた。
一体、マルスは何を思い出したと言うのか――ハヤトにとっては訳が分からないと言う事だろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます