第13話

 一日の授業が終わり僕は部室へと向かう。


 一応毎日部活はあるし、僕は毎日顔を出している。


 まあ、僕の身体を元に戻すって建前で作られた部活だけど、実際遊んでいるだけなのだが。


 そんなことはさておき、僕は部室の前までやってきた。


 そして部室の扉を開けると思わず声が漏れてしまった。


「え、なにこれ…」


 部室に入ると目の前にはパソコンが3台置いてあったのだ。それも結構良いやつ。


「ほら、最近部活でやることなくて暇になってきたし、パソコンでも導入すればできることの幅が広がるんじゃないかなぁ、って」


 千歳が言い訳を僕にぶつけてくる。


「それ千歳がゲームやりたいだけでしょ。結構ゲームオタクだし」


「バレちゃってたかぁ、伊達に幼馴染やってないね」


 千歳が微笑みながら答えた。


「それにしてもこのパソコン高いだろ?よく買ってもらえたな」


「まあね、頑張って説得したよ」


 可愛い千歳の頼みだから顧問の先生もついつい聞いてしまったのだろう。


 世の中なんというか、不条理。


「そんでゲームって言っても僕ら3人で一体なんのゲームをするわけ?」


「うーん、さすがに部費からゲーム代金を捻出するのは難しそうだし基本プレイ無料のMMOかなぁ?」


 MMOとは大人数でプレイできるオンラインゲームだ。戦士や魔法使いや僧侶など、様々な職業を選べるゲームが多い。気になった人はググってみてね。


 僕と千歳と亮介の3人は同じゲームをダウンロードする。


 そこそこ長かったダウンロードが終わり、僕はキャラメイクを始めようとした。しかし、僕の手が止まる。


「え、何これ!レベル高っ!」


 キャラメイクの画面に表示されているキャラクターのリアルさに僕は驚く。


 まるで本物の人間かのようなクオリティだ。


「ここ最近一気に技術が進歩してるからな。どのゲームもクオリティがかなりハイレベルだよな」


 亮介も技術の進歩に驚いているようだ。


 千歳はいつもゲームをプレイしているからか驚いた様子はない。それどころか黙々とキャラメイクを進めている。


 僕と亮介もキャラメイクを始めることにした。


 キャラメイクを始めて最初の選択肢で僕はまた再び手が止まる。キャラの性別選択だ。


 これ、僕が女キャラ選んだらネカマになるのか?


 少し女キャラを選ぶのに躊躇いが生じる。


 でも僕としては、画面の真ん中を男キャラが走っているのを見るより、女キャラが走っているのを見ている方が楽しい。


 だが今の僕は一応女の子だ。男キャラを選ぶのもそれはそれで変だよな。


 今の僕は女の子だからキャラの性別も女の子にしよう!


 自分に言い訳をして僕は女キャラを選ぶ。ネトゲの性別で女を選ぶのは恥ずかしい。


「千歳女選んだのかよ」


「女の子としての自覚芽生えちゃった?」


 案の定亮介と千歳にからかわれてしまった。いいじゃん僕女なんだしネカマじゃないじゃん。


 結局今日はキャラメイクだけ終わらせて下校することになった。


 明日からのプレイがちょっと楽しみだ。

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