第10話

 今日は日曜日。僕は亮介と近所のショッピングモールに出かけることになっていた。


 学校で亮介に


「日曜日暇か?」


 と聞かれたので


「暇だ」


 と答えたらショッピングモールに行くことになった。


 亮介と出かけることは男だった時からよくあったが、女になってから亮介と出かけるのはこれが初めてだ。


 側からみたら男女の二人組、少し恥ずかしい。


「うーん、どうしよっかなぁ〜」


 僕は服選びに苦労していた。


 今の僕は女の子だが、服は男物しかない。


 女の子なのに男物の服を着て出かけるのは気が引ける。


 だからといって女物の服を持っているわけがない。


 仕方がないので僕は持っている服の中でできる限り女物に近い服を着ていくことにした。


「おまたせー」


 待ち合わせ場所についた僕は既に待っていた亮介に声をかける。


「いや、俺も今来たところだから」


 亮介もちょうど今着いたところだったらしい。


 二人でショッピングモールに向かって歩き出す。


「他の人から見たら俺らってカップルに見えるのかな?」


 亮介がそう突然切り出した。


「お前突然何言うんだよ」


 僕は頰を赤らめながら亮介にツッコミを入れる。


 たしかに側から見たらカップルのデートに見えるだろう。しかし僕は認めない。


 そんなたわいもない会話をしながら歩いているうちにショッピングモールにたどり着いた。


「僕ちょっと服屋見に行きたいんだけどいいかな?」


「ああ、分かった」


 今朝着る服が無くて苦労したので流石にそろそろ女物の服を買わなきゃいけないなと思っていた僕は新しい服を買いに服屋へ向かう。


 それにしても色々あるな。


 服屋で自分の着れそうな服を探すが、なかなか探すのが大変だ。


 色んなジャンルの服が豊富な品揃えで揃っている。


「こんなのどうかな?」


 自分一人で服を探すのも大変なので亮介に相談する。


「うん、いいんじゃねえかな」


 亮介が良いと返事をくれた。


 僕はその服を買うことにした。


 そんな感じで亮介と色んな店を巡って楽しんでいた。


「ごめん、ちょっとトイレ行くからその辺で待ってて」


 亮介がトイレに行きたくなったらしいので、僕は休めそうなスペースで休憩することにした。


 休憩スペースで休憩していたら、少し年上と思われる男二人組が声をかけてきた。


「姉ちゃん一人?ねえ遊ぼうよ」


 うわ、これナンパってやつか?


「嫌です。てかそもそも僕男だし」


「面白い冗談言う子だな。まあいいや、遊んでやるから来いよ」


 僕は半ば強引に連れて行かれそうになる。男二人に強く逆らえず非常に困っていた時、


「ちょっとそいつ俺のツレなんだけど」


 トイレを済ませた亮介が帰ってきた。


「ちぇっ、彼氏持ちかよ。他を当たるぞ」


 ナンパ男二人組は諦めて帰っていった。


 女の子がどれだけ非力なのかを実感させられた。


 そして、亮介がいつも以上にとてもカッコよく見えた。


 昔から亮介はイケメンだしかっこいいとは思っていたが、今までのカッコいいとはまた違ったカッコいいという感覚が僕の中に芽生えていた。


 なんで?女の子になったから?


 心情の変化に戸惑いながら僕と亮介は帰路についた。

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