第456話
ロピの放った雷弾は、一言で言い表すなら、雷そのものだ。
一直線に飛んでいく雷弾は大きく、早く、眩しい。
そんな、雷弾に対して俺は更にサポートを掛ける。
「アタック!!」
俺にしか見えない赤いラインをロピとモンスター達の間に敷く。
すると、雷弾は俺の敷いた赤いラインの上を通り、更に大きく、早く、眩い光を放ち飛んでいく。
そして、ロピの斜線上にモンスターの子供達を連れて来た案内役は雷弾の斜線から逃れる様に方向を転換する。
よし、雷弾の、斜線上からは逃れたな!
そこからは、ロピの放った雷弾の威力が如何に強力なのかを知る。
雷弾は綺麗に列を成して案内役を追いかけていたモンスターの子供達を根刮ぎ巻き込んでいき、次々と貫通し、倒していく。
そして、雷弾が通った跡はモンスターの肉片が散らばっており、肉の焦げた臭いが、そこら中に充満する。
気が付けば、ロピの放った、たった一発の雷弾で百体は居たかと思う程のモンスター達を一掃してしまったのである。
「す、すげぇ……な……」
元々、ロピの雷弾の凄さは分かっていたし、直撃すれば中型すら倒せる事も知っていた。
しかし、大型スリリングショットとサポートを加えた雷弾が、まさかここまでの威力があるとは、流石に想像していなかった……
雷弾の放った跡を呆然と眺めていると、雷弾を放った張本人が来た。
「お兄さん、どうどう? 私凄くない?!」
ロピはドヤ顔で俺に話しかけて来る。
「あ、あぁ……凄い」
「えへへ。だよね? もっと褒めて褒めてー!」
俺に撫でて貰いたいのか、こちらに近付いて来て、頭を俺の方に向けて来る。しかし、今は褒めている時間すら惜しい状況なのを思い出す。
「そ、それよりもグイン達を助けに行くぞ!」
「ぶー。後でちゃんと褒めてよね!」
俺とロピは木を降りてリガスとチルに合流する。
「状況はどうだ!?」
「ふむ。ロピ殿のお陰で、残りは数体の小型だけですな」
「えへへ」
「さすが姉さん」
「もっと、褒めてー」
リガスの言う通り、ロピのお陰でモンスターの子供達は一掃出来た。そして残りは数体の小型のみである。
しかし……
「ロピ殿のお陰であり、ロピ殿の所為とも言えるかもしれませんな」
「──えっ?」
「姉さんが一掃したから怒っている」
「──えっ!?」
小型達の方を見ると、何故か俺達の方を見ていた。
恐らくだが、ロピが子供達を無惨な姿にしたせいだろう……
「え、えぇ……これ、私の所為なの!?」
戸惑う様にロピが声を漏らす。
1……2……3……うん、全部で二十体の小型が此方を向いていた。
だが、言ってしまえばこの二十体を倒せば……いいって事だよな? ──いや流石に無理だな。
「リガス、この数をどうするべきだ?」
「ふむ。ここは逃げる方がいいでしょう」
リガスの言葉にチルが首を傾げる。
「ロピ殿の先程の攻撃は見事でしたが、少々派手にやり過ぎましたな。恐らく、もう少ししたら、またモンスター達が集まって来るでしょう」
「それは不味いな」
「えぇ。この数を倒すのは流石にキツいでしょう。なので、此処は皆を連れて逃げるのが得策でしょう」
リガスの言う通りだな。
「よし、グイン達を連れて逃げるぞ!」
「「「はい!」」」
「まず、俺とリガス、ロピはこのまま、モンスター達の注意を惹きつける。その間チルはグイン達に状況を説明して、これから逃げる事を伝えて来てくれ」
「分かりました」
俺の指示に従いチルはグイン達に向かって走り出す。
「さて、ロピにはここでも活躍して貰おうか」
「ほっほっほ。それは良いアイディアですな」
「んー? どう言う事?」
ロピが首を捻る。
「あの二十体の小型、ロピしか見てないぞ?」
「──ッえ?! あ、あはは、お兄さん、こんな状況で冗談は笑えないよ」
そう言いつつも、ロピは小型達から視線を逸らさず、本当に自分の事を見ているか、確認する為に移動する。
「……」
移動する。
「……」
移動する。
「──お、お兄さん! 魔族さん! 私、完全に狙われているよ?!」
「ほっほっほ。大人気ですな」
うん……流石は、俺の娘だな! 種族を通り越しても人気だ。
「わ、私、どうすればいい?!」
「ふむ。ロピ殿は私達と逆方向に走って頂くって言うのはどうですかな?」
「鬼! 鬼畜! 悪魔!」
「ほっほっほ。褒め言葉ですな」
はぁ……締まらないな。
「ほら、遊んでないで、モンスター達の注意を惹きつけとくぞ」
俺達はなるべくグイン達の方に意識が向かない様に、目立つ様に動き、目立つ様に声を張り上げる。
そして、遠目からはチルがグイン達の元に到着したのが見えた。
「よし、後はチルが説明して、皆んなで逃げるだけだな」
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