第728話 紗希の挑戦
☆紗希視点☆
京都から千葉へと一時的に戻って来た私は、奈央が以前から計画して、つい先日完成したという私達の新拠点にやって来ているわ。
夕食を食べた後で、ゆっくりとお風呂タイム。
私、奈央、亜美ちゃん、希望ちゃん奈々美、麻美の計6人で入浴中だ。
夕食中に今井君と希望ちゃんもやって来て賑やかになったわ。
明日は遥と渚にも会えるし楽しみね。
「さーて、久々にサイズチェックいっとく?」
私は手の平をいやらしく動かしながら希望ちゃんと亜美ちゃんをターゲットに決める。
「はぅ?!」
「うわわ?!」
物凄い勢いで後退り、壁を背にする2人。
「無駄よ無駄無駄」
私は怯える2人の前に達、抵抗する2人を物ともせずに蹂躙してやった。
うむ! 満足!
「そうなった紗希は、亜美ですら止められない程無敵になるのね」
「未だに負けなし!」
あ、ちなみに希望ちゃんは少し成長してたわ。
亜美ちゃんは成長止まってるっぽいわね。
「亜美ちゃん、ちゃんと揉まれてる?」
「な、何の話?!」
亜美ちゃんは顔を赤くして怒っている。
「いやいや、成長が止まってるなぁと思って」
「あら、そうなの? 亜美はもう限界かしら」
「べ、別に今以上に大きくなる必要無いもん」
まあ亜美ちゃんは既に立派だものね。 私も正直今よりは成長したくないなぁと思ってたり。
ちなみに亜美ちゃんは「ちゃんと揉まれてる」と漏らしていた。
◆◇◆◇◆◇
お風呂から上がった私は、まだ素っ気の無い内装の自室に戻りパソコンを立ち上げる。
「うへー。 私がお姉さんから大学進学祝いで買ってもらったパソコンも中々だけど、このパソコンも性能やば……」
パソコンのスペックを調べてみて仰天。 まあ、奈央がやる事だからこれぐらいは当たり前か。
京都から持ってきたソフトをインストールして使えるように設定を行う。
「つっても、ここではあんまり使わないけどね。 夏に戻って来た時とかぐらいか」
カタカタと操作をして、京都から持ってきたSDカードを読み込みデータを開く。
フォルダにはいくつものファイルが入っており、その全てが私がデザインしたものになっている。
キャラクターデザインからロゴデザイン、ポスター用のデザインなどなど、これらはどれもデザインコンクールなんかに応募した、または応募予定の物達だ。
「よっと」
私は現在手を付けている最中のデザインファイルを開き作業を開始。
コンコン……
したところで部屋に来客。 しかたないなぁ。
私は作業を中断してドアを開ける。 するとそこには今この家にいる女子全員が押しかけて来ていた。
「やほ」
「や、やほ」
「寝るまで紗希ちゃんと一緒にいようかと」
「あ、明日もまだいるけど?」
「すぐいなくなるでしょ?」
ま、まったく皆ってば。 結構寂しがり屋なのね。
私はクスクス笑いながら「どぞ」と部屋に入ってもらう。
麻美がパタパタとパソコンの前に走り寄って行き、早速私のデザイン中のデータを見て興奮したように声を上げる。
「神崎先輩! 何この可愛いキャラクター!」
「それは今度応募しようと思ってる、新装開店の家電量販店のイメージキャラクターよ」
「おー。 もし採用されたら紗希ちゃんの作ったキャラクターがそのお店の看板になるんだ?」
「そゆこと。 あ、そうそう。 既に私のデザインが採用されてるのもあるわよ」
と、ファイルを開く。
「あら、このお店のロゴ、CMで見たことあるわね」
「え?! あれ紗希ちゃんのデザインなの?!」
「きゃはは! 私のメジャーデビュー作!」
「凄いよぅ!」
皆が自分の事のようにはしゃいで喜び始めた。
「これこれ。 こいつはまだ私の夢の第一歩なのよ? 喜ぶのはまだまだ早いって」
なんて偉そうな事を言っている私だけど、このデザインが採用されると決まった時は私も飛び跳ねて喜んだんだけどね。
やっぱり自分の創造した物が形になるのって最高に嬉しいわ。
「紗希ちゃんはどんどん前に進むねぇ。 尊敬だよ」
「ぬあっはっはっー! これからもどんどん躍進していくわよん!」
「調子に乗っちゃってもう……」
と、ここで私は皆に相談に乗ってもらいたい事があるのを思い出した。
これはまだまだ考え中なんだけれど……。
「実はさ、皆に相談したい事があってね」
「どうしたの? 急に改まって」
「普段のテンションからは想像出来ない真剣なトーンね」
「うむ。 話したまえ神崎先輩」
「私達で力になれることがあるなら何でもするよぅ」
「うんうん」
真剣な私には真剣に答えてくれる仲間達。 ありがたいわ。
「あのね。 まだ先の話なんだけどさ、今度ネットで私の公式サイトを開設しようと思うの。 まずは簡素なやつだけど」
「な、何それ?」
「まあ自己紹介とかどんな事してるかとか、そういうの乗っけてさ、簡単なお仕事の依頼とかも受け付けちゃおうかなって……まあ、挑戦って感じでちょっとやろうかと」
「おお……」
「いつになるかはわかんないわよ? 自分の実力に自信が持てるようになるまではちょっとね」
「その為に今、色々なのに応募してるんだよね?」
「んま、そゆこと」
デザインコンクールとかで実力に自信がついた時の次のステップとして考えているわけよ。
「サイト運営なら私な任せてー! 私も自分のオフィシャルサイト持ってるから相談に乗れるよー」
麻美が手を上げて元気にそう言ってくれた。 てかオフィシャルサイトがあるって……と思ったところで思い出した。 麻美は売れっ子の小説家だったんだわ。
「その時はお願いね!」
「うむー」
「私も色々バックアップしますわよー」
「奈央は頼りにしてるわよん」
「インターネットの事はよくわからないけど、他に何か力になるよ」
「はぅはぅ」
「ま、大学で宣伝ぐらいならしてあげるわよ」
「きゃはは、助かりまする」
こうして友人達にも協力を得られそうだという事で俄然やる気がみなぎってきた。
「よーし! まずはこれを仕上げちゃいましょ!」
「頑張れー」
後ろで声援を送ったり、ちょっとここはこうした方が、みたいなアイデアを出してくれたりと、友人達はとても頼もしい。
本当に良い友人を持ったと思うわ。
◆◇◆◇◆◇
翌日……
「んにゅー」
「相変わらず朝はダメなのね」
起床した私は洗面所へとやって来ている。 先に来ていた奈々美には苦笑いされてしまう。
「ふぁよー」
「おはよ。 さっさと顔洗ってシャキッとなさい」
「おー」
バシャバシャ……
シャキッ!
「おはよー!」
「あんた、面白いわね……本当に顔洗っただけでシャキッとしちゃうなんて」
「まあねー」
昨日の夜は結局デザイン画が完成するまで頑張ってしまったわ。 皆の協力や応援のおかげでかなり良い出来になったと思う。
選ばれたら嬉しいわね。
朝食は私と亜美ちゃんが久しぶりに腕を振るうわよ。
このキッチンは昨日使わせてもらったけど、中々作業しやすくて良いわ。
複数人で作業しても狭くないのもグッド。
「さあ、作りますかー」
「おー」
さて、今日はどんな日になるやら。
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