第671話 代表候補集結
☆亜美視点☆
日本代表選考会を兼ねた合宿に参加する為、大阪へとやって来た私達。
ホテルに着いてとりあえず部屋へ入る。
私の部屋は2人1部屋で、私は希望ちゃんと同室。
他の人も1人部屋と2人部屋を選べるらしい。
遥ちゃんは1人部屋にしたみたい。
「はぅ。 良いお部屋だね」
「うん。 今日は夜のミーティングまでお休みみたいだし、ゆっくり休もう」
この合宿、本格的な練習の開始は明日から。
今日は遠方から移動して来る選手もいるという事なので、夜にミーティングだけとなっているのだ。
「紗希ちゃんまだ来てないのかな?」
「まだみたい」
京都と大阪だから近いんだけど、その分ゆっくりしているのかもしれない。
「でも、この合宿どれぐらいの選手が来てるのかな?」
「んーわかんないね。 ミーティングでわかるとは思うけど」
私達月ノ木組は8人。 東京から弥生ちゃんと宮下さん、新田さんの3人と、大阪の双子、黛姉妹は確認している。 これだけで13人である。
今回代表メンバー入り出来る人数24人。
何とか皆で残りたいところである。
ピロリン!
「あ、紗希ちゃんからだ。 今着いたって! ロビー行くよ希望ちゃん!」
「うん」
急いで部屋を飛び出してロビーへと移動した。
◆◇◆◇◆◇
ロビーへ行くと、紗希ちゃんが荷物を持って監督の説明を聞いていた。
監督から説明を受け終えた紗希ちゃんが、こちらに気付いて歩いて来る。
約1か月ぶりだ。
「やほ!」
「月ノ木メンバー集結ね」
「きゃはは。 結構早かったわね集結すんの。 あ、部屋は奈央と同室って言われたんだけど」
「私が2人部屋取っておいたからね」
「この寂しがり屋め。 毎日通話かけてきて、奈央は私の旦那かしら」
「べ、別に良いでしょ」
どうやら奈央ちゃんは、紗希ちゃんと毎晩話しているみたい。
本当に仲良しなんだね。
その後はお昼を食べに行き、そこで紗希ちゃんや弥生ちゃん、宮下さんの近況を聞く。
紗希ちゃんは京都でデザインの勉強を頑張っているみたい。
話に聞いていたバイトも、結構楽しくやってるみたい。
「紗希頑張っとるんやな。 京都はどないや?」
「まだ地理に慣れないわね。 どこ歩いたらどこに出るのかさっぱりよ」
「慣れたむしろ楽なんですけどね」
渚ちゃんや弥生ちゃんにとって、京都の碁盤の目はお庭みたいなものみたいです。
「でも、休みとかはちょこちょこ出かけてるわよ。 余裕出来たら観光とかもするつもり」
「お、ええやん。 聞いてくれたらおすすめスポット教えるで」
「じゃあ今度おせーて!」
「任しとき」
本当に紗希ちゃんと弥生ちゃんは仲良くなったらしい。
受験前にオープンキャンパスへ行った時に、月島家に1日お世話になったらしく、その時に仲良くなったみたい。
紗希ちゃん曰く、月島家のご両親は面白い人達だったらしい。
「東京の方はどうなの?」
「まあ、それなりには慣れてきたで」
「今度遊ぼうよ」
「時間あったらなぁ」
試合が始まると忙しいから、オフシーズンぐらいしか遊ぶ時間は無さそうだということ。
なので、オフシーズンに遊ぶ約束を交わしたよ。
「ところで、渚と藍沢妹と新田さんて今年受験やないの? ワールドカップに時間使うて平気なん?」
「なはは! 大丈夫です!」
「何よりも貴重な経験なので。 それに、私はVリーグ志望ですし」
新田さんはVリーグに行きたいのかぁ。
多分、宮下さんや弥生ちゃんのチームが良いんだろうね。
「渚は? 藍沢さんや夕ちゃんのいる大学狙ろうとるんやろ? あんた、成績はそこそこレベルやからな」
「う……せ、せやけどやっぱり貴重な経験やし。 それに七星大学はそこまでレベルが高いわけやないみたいやし」
「危なかったら私が家庭教師するよ。 家庭教師亜美ちゃんにお任せ。 ビシバシだよ!」
「ははは。 亜美ちゃん先生の家庭教師は私のお墨付きだ。 何せバカの私を志望校に受からせたんだからな」
「亜美ちゃんはさすがやな。 渚の事頼んだで」
「お任せだよ」
その後、ホテルに戻り夜のミーティングの時間までは、それぞれゆっくりと過ごした。
◆◇◆◇◆◇
夜、夕食はホテルの食堂で済ませてミーティングに参加する。
「おお、おるおる」
「あ、黛姉妹もいるじゃん」
ミーティングの場には、インターハイや春高で鎬を削ってきたライバル達の姿も見受けられた。
他にもVリーグで活躍しているベテランプレーヤーが多いみたいだ。
この中で代表争いをする事になるんだね。
「皆集まったなー。 じゃあ軽く説明を始めるぞー」
相変わらず間延びした話し方で説明を始める小林監督。
「えー、今回はワールドカップバレー日本代表選考合宿に参加してもらい感謝する。 若い者は高校生から、年上はベテランのVリーガーまで、幅広い世代で活躍している面々がここに集まったわけだが、ここでは実力主義だ。 今回、我々日本は本気で世界を取りに行く! 皆、死ぬ気でアピールしてくれ。 代表入りメンバーは24名。
OHが10名か。 その中に残らないといけないんだねぇ。
各ポジションの人数が結構多いのは、大会期間が長い為に調子の良し悪しによってはスタメンを入れ替えたりとかするだろうからかな?
「明日からの練習や紅白戦なんかで動きを見ていくからな」
「はい!」
◆◇◆◇◆◇
ホテルのロビーに集まる私達ルーキー組。
ユース大会で活躍したメンバーで今回の合宿に参加しているメンバーが大半である。
あの時チームキャプテンをしてくれていた京都の眞鍋先輩もいるよ。
「こうやって見ると、ウチらルーキーの面々も相当やばいな」
私達月ノ木メンバー、元京都立華から弥生ちゃん、眞鍋先輩、元都姫女子の宮下さん、元大阪銀光の黛姉妹、現役高校生の麻美ちゃんに渚ちゃん、それに新田さん。
私達の世代でも全国を沸かせた強力なメンバーだ。
「でも、ベテラン組も結構なメンツやよ。 神奈川の光電機エレキースのOH田中さんは、オリンピックでも日本代表やった人やし、他にも元代表がゴロゴロおった」
眞鍋先輩や黛姉さんは私達より早くVリーグの世界に飛び込んでいるため、界隈の情報に詳しい。
色々と教えてもらったよ。
「結構レベル高いみたいやけど、ウチらかて世界経験してるんや。 ルーキーの力見せたろや」
「なはは、私は世界経験してないー」
「麻美っちは神ブロッカーよ! 私が保証する!」
「ほな、ルーキーズ全員生き残る為に気合い入れよ」
眞鍋先輩を中心に円陣を組み、皆で気合いを入れる。
ルーキーズ内であってもライバルである事に変わりは無いのだけど、それと同時に仲間意識も芽生えている。
皆で代表に選ばれて、世界の舞台で戦いたい。
明日からの練習や紅白戦で目一杯アピールして、代表になるぞー。
◆◇◆◇◆◇
「リベロは3人かぁ。 はぅ、凄い人とかいそうだし、私残れるかなぁ」
部屋に戻るや否や自信が無さそうな希望ちゃん。
「大丈夫。 希望ちゃんだって凄いよ。 2人で日本代表になろう」
「うん!」
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