第488話 いざライブへ
☆奈々美視点☆
さて、あと30分ほどで私達女子の方のライブが始まる。 現在更衣室で衣装に着替えているところだ。
「しかし、男子にはやられたわね」
「ですわねぇ」
男子のライブは大成功といった感じだった。 最初に決めた予定とはだいぶ変えて来ていたものね。
「私達もぶっつけで何かパフォーマンス増やすー?」
「今から増やすのは無理だよ。 練習したことを練習した通りにやるしかないねぇ」
まあ亜美の言うとおりね。 今からやること増やすのはまず無理。 出来る事をやるだけね。
私達ぐらいの美少女なら、舞台に上がって歌って踊るだけで大盛り上がり間違いなしよ。
男子は無論、女子もテンション上がるようなライブにしてやるわよ。
「しかし、私にこんな衣装似合うか? 神山先輩もこれ似合うと思ってくれるかー?」
どう見ても可愛らしいアイドル衣装を着て困惑する遥。 この子はまだそんなこと言ってんの……。
「あんたねぇ、私達があれだけあんたを改造してあげたのよ? 十分女らしくなったし、自信持ちなさいよね」
「そーそー」
「ぬーん……わかった」
「あはは。 遥ちゃん、ダンスミスしないでね?」
「うっ、リハではちゃんと出来たし大丈夫……だと思う」
「頼むわよー」
不安要素であった遥のダンスも、今はもうほぼ完璧なので大丈夫だろう。
「んじゃ一丁気合い入れてきますか」
そう言って左手を前に差し出す紗希。 その手に黙って自分の手を重ねる奈央。
そして続々と皆が手を重ねていく。
「3-A女子代表として、最後の月ノ木祭盛り上げていこ~!!」
「おー!!」
気合も入ったところで呼び出しを待つ。 観客席はすでに満員との事。
さすが美少女軍団と言われるだけはあるわね。
「皆ー、舞台上がってー!」
「お、来たわね。 行くわよ!」
呼び出しがかかったので、センターの私から順番に舞台へ向かう。 程よい緊張感だわ。
少しずつテンションも上がってくる。
「うおおおおおお!」
「藍沢さんやべー!」
「バカ野郎! 清水さんの方が可愛いに決まってんだろうが!」
「アホどもめ! 神崎さんのあのムチムチボディの良さがわからんのか!」
「いんや! 断然西條嬢の可愛らしさこそ至高!」
私達が舞台に上がると、各派閥に分かれてバトルが始まった。
これはとりあえず黙らせないとね。
「はーい! 落ち着きなさいー!」
マイクを通して観客席に注意を促し、ひとまず静かになってもらう。
とりあえず静かになったので、挨拶と自己紹介を始めていく。
「今日は私達のライブを見に来てくれてありがとう! 午前中の男子も大盛況だったけど、私達女子の方も盛り上げられるように頑張っていくからよろしく!」
「うおおおお! 任せろー!」
良い感じに観客のテンションも上がっているみたいね。 じゃあ順番に自己紹介していきましょうかね。
「じゃあメンバーの自己紹介始めるわよ! まずは私! 今日はセンターを務めさせてもらう事になった藍沢奈々美よ!」
自己紹介を終えて一歩後ろに下がる。 と同時に紗希が前に出てスポットライトが紗希に降り注ぐ。
「神崎紗希よー! 今日はセンター譲っちゃったけど、奈々美に負けないくらい目立っちゃうんでよろしくねん!」
「うおおおお! 紗希ちゃん! 紗希ちゃん!」
んー、さすがの人気ね。 彼氏君も気が気じゃないでしょう。
紗希が下がると次は亜美が前に出る。
「えと、清水亜美です。 私は最近までケガしてて練習時間あんまり取れなかったんだけど、短い期間で精一杯練習したんで応援してください」
「清水さん、マジ天使!」
ぺこりと礼儀正しく頭を下げて一歩下がる亜美と入れ替わり、ちっこいのが前に出る。
これはこれで可愛らしいわね。
「西條奈央です。 今日は私達のライブを目一杯楽しんでいってくださいませ!」
「おおおお! 奈央たーん!」
どうやら奈央は奈央で需要があるらしい。 まあ一般人レベルじゃ奈央とは釣り合えないでしょうけど。
さて最後に自己紹介するのは遥ね。 ちょっと慣れない感じで前に立つ。
「あ、蒼井遥です。 こういうのはその……あんまり得意じゃないし柄じゃないんだが、一生懸命練習したから見ていってくれな!」
「蒼井さんも綺麗だぞー!」
遥にもファンがいるみたいね。 イメチェンしてからは男子からの人気も一気に出たみたいだし当然かしら。
「この5人でやっていくから、皆も最後まで声出して応援してよね! じゃあまずは一曲行ってみましょう!」
と、私の合図でメンバーが位置についてBGMが流れ始める。
男子たちのように自分たちの演奏ではないけど、亜美が行きつけのライブハウスのお客さん達に頼み込んで作ってもらったというアレンジBGMだ。
練習を重ねたダンスと歌を披露する。
「この~大海原へ~♪」
遥も問題なさそうである。
感想を終えて、ここで私のソロパート。
「あの鳥のように~……私も~!」
ここからは私と亜美が高音パート、紗希と奈央、遥が通常パートに分かれてのハモリになる。
「おおおお……」
私達の綺麗なハモリに観客も感嘆の声を漏らす。 たくさん練習してきたものね。
そのまま一気に一曲歌い切る。
まずは良い感じね。
「はあ、はあ。 次はテンション上がるアップテンポの曲行くわよー! ついてきなさいよね!」
「おおお!」
2曲目はテンポの速い激しめの曲。 その分ダンスもキレやスピードが要求されるものになっている。
遥が一番不安がっていた曲はこの曲だ。
私も他人の心配してられるほど余裕があるわけじゃないし、遥には頑張ってもらいましょう。
「うおおおお! いいぞぉー!」
「最高だぜー!」
「皆かっこいいやんー!」
「皆いいぞー!」
亜美が招待した友人達もノリノリで声援を送ってくれている。
こうして私達は、間にトークなんかも挟みながら計5曲を歌い切るのだった。
「皆ー! 今日はありがとうございましたー!」
「楽しんでもらえたかなー?」
「最高だったぞー!」
「楽しかったー!」
どうやら私達のライブも無事に成功したようね。 練習を頑張って来たかいがあるってものよ。
特に遥は誰よりも練習してたし、達成感も人一倍あるでしょう。
私達は締めの挨拶をして、舞台を後にするのであった。
◆◇◆◇◆◇
「ふぅ……ひとまず皆お疲れー!」
「お疲れー!」
控室になっている舞台裏の一室で、お互いの労をねぎらう。
「遥、完璧だったじゃーん」
「めっちゃ緊張した……」
「あはは、でも本当にミスも無くて良かったよ」
「彼氏もこれは満足でしょ」
「いやいや……」
「でも、これは大成功って事で良いわよね」
「うんうん」
ライブを終えて一気に脱力する私達は、その辺に腰を下ろして一休みすることにした。
ここからは、どうやって体育館を脱出するかである。
男子も苦労していたというのは紗希達から聞いている。
どうやらその時は、紗希達が上手く女子の山をこじ開けて道を作ったらしい。 今回、宏太達がその役を引き受けてくれることになっているらしいけど、大丈夫かしらね?
「んじゃま、出ますか?」
「だね」
休憩も済んだところで、男子ファンがひしめく体育館へ出ることにした。
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