第397話 沖縄の思い出
☆渚視点☆
沖縄は国際通りを観光中。 清水先輩や麻美を含めて計5名で行動中。
今井先輩は私ら女子に囲まれてハーレム状態っちゅうやつになってはる。
どうも、今井先輩を取り囲む女子達は諦めが悪いようや。 私もその1人なんやろうか?
私達は今、藍沢先輩と佐々木先輩が食べていたアイスクリームを片手に散策中。
私が食べてるのは安定の紅芋テイストやけど、今井先輩の食べてるサトウキビっちゅうのも気になる。
チラッ……
「あ、あの先輩。 そっちのはどんな味ですか?」
「ん? これか? 意外と甘ったるさが無くていいぜ? ほれ」
そう言ってアイスを私の目の前に差し出してくる。
これは一口食べてええってことやろか? ほならお言葉に甘えて……。
「はむ……んむんむ」
んー、たしかにサトウキビと聞くとめちゃ甘そうな印象受けるけど、これはそこまで甘ったるくはないなぁ。 バニラアイスにちょっと塩あじでも付けてあるんか、あっさりしてて美味いわ。
黒糖のほのかな甘みも広がってイケるでこれ。
「ほうほう……渚が夕也兄ぃと間接キッスを」
「うぇぇっ?! な、何を言うてんねん麻美!? こ、こここれはただ一口アイスをもろただけであって、間接キスとかそう言うんやないで!」
「あーはいはいー。 そういう事にしといてあげるー」
麻美は尚もニヤニヤしながらそう言う。 こいつ、人からかって遊びよってからに……。
「夕也くんっ! 私も間接キ……いやいや、サトウキビアイス一口下さい!」
「んん? 良いけど」
私に対抗してなのか、雪村先輩も今井先輩にねだってサトウキビアイスを一口貰っている。
なんていうか欲望に忠実な人やな。 逆に清水先輩は特に気にした様子もなく自分のアイスをひたすら食べている。
「ん……だいぶ色々周ったし、荷物も増えてきたからバスの方へ向かって皆と合流しよっか?」
「そうだなぁ、じゃあゆっくり行くか」
「うんうん、気になるお店があれば寄る感じでいいよね」
「賛成ー」
「異議なしです」
清水先輩も意見に賛同し、国際通りを突き進む。
私達を降ろしたバスは、その場には止まらずに国際通りを抜けた先に移動している。 その為、バスへ向かうには国際通りを通り抜ける必要があるっちゅうことや。
ただ清水先輩の言うように、荷物が増えてきたさかいに、買い物する時は気を付けなあかんな。
せやけど……。
「おー、このシーサー可愛らしいよ!」
「うわわ、本当だー」
「亜美ちゃん、買おうよぅ」
と、中々歯止めが効かない私達は、バスに着くまでに3件ほど立ち寄り、更に荷物を増やすのだった。
バスの元まで来ると既に西條先輩達のグループも戻ってきており、後は藍沢先輩と佐々木先輩を待つことに。
「皆、買い込んでるわね」
私達の持っている荷物を見て西條先輩が言う。 その西條先輩もかなり買ってるようではある。
店ごととか買うてへんか心配になるけど、聞かへんようにしよ。
「いやー楽しんだ楽しんだ」
「そうだね」
時間もそろそろ夕方近いし、ここらで今日の観光はおしまいやなぁ。
楽しかった。 沖縄言うてもまだまだ広くて、行けてない場所もようさんあるんやろな。
「あ、奈々ちゃん達も来たよ。 ちょうどいい時間だったね」
「そうだな」
「うわ、奈々美が海人ファッションに染まってる!」
神崎先輩が藍沢先輩を見て爆笑する。 藍沢先輩は「ふふん、どうよ」と少し威張って見せる、
正直言うてめっちゃ似合っててカッコイイ。 ほんまなんでも着こなすなぁこの先輩。
「佐々木君は荷物持ちご苦労様ね」
「おう……」
佐々木先輩は荷物を一旦バスに置いてから降りてきて、私達に合流。
これから全員で本日最後となる、写真の撮影ヘと向かう。
どうやら撮影スタジオを予約しているらしいので、すぐにでも撮影ができるらしい。
用意周到やなぁ。
「んじゃ、行くわよー。 ついて来て」
先頭を一番小さな西條先輩が進み、その後ろを私達がゾロゾロとついて行く。
何というか変わった絵面になってるなぁ。
他の観光客の隙間を縫ってひたすらに歩き、ようやく目的地へ到着した。
西條先輩が代表して話を通してくれはるんやけど、見た目どう見ても中学生やのに、よう取り合ってもらえるなぁ。
「皆、スタジオの準備は出来てるみたいだから、私達も準備して撮影始めるわよー」
と、ズンズン中へ入って行く西條先輩の後を、私達はついて行く。
一応メイクを直したりする余裕があるそうやから、女子組は化粧室へ移動。
「今井先輩と佐々木先輩を待たせて。何や悪いですね」
「そうねぇ……なるべく早く準備済ませるしかないわね」
あの先輩達の事やから、文句は言わはらへんやろけど……。
◆◇◆◇◆◇
軽く身嗜みを整えてスタジオへ向かうと、男組の2人は既にスタンバイしていた。
「……2人ともなんていうか」
「イケメンねぇ」
「ですねぇ……」
少し遠目に見る今井先輩と佐々木先輩は、お世辞抜きにイケメンや。 私もつい正直に頷いてしもうた。
「来た来た」
「早く並べよー」
私達を見つけ、手を振りながら呼ぶ2人。
待たせるのも悪いので、少し小走りに移動する。
「夕ちゃんの隣ゲットー!」
「じゃ私はこっちだよぅ!」
と、清水先輩と雪村先輩は早くもポジション取りを済ませる。
「わ、私は今井先輩の前に屈んでええですか?」
「ん? 良いぞ良いぞ」
「おー私も! 渚ちょいズレて!」
「ちょっ!? 押さんでもズレるがなぁ!」
今井先輩の周りのポジション争いはとても激しい。 他の皆は苦笑いしながらこの光景を見ていた。
何とか全員が並び終えて、何枚か撮影してもらう。
これはええ思い出になるで。 今度お姉ちゃんに自慢したろ。
◆◇◆◇◆◇
写真撮影も終えて、本日の日程は終了。
バスに乗り別荘へ帰るだけとなった。
明日は明日で、ビーチでイベントがあるらしく、それに参加する予定があるらしい。
ただ、何のイベントがあるんかは教えてもろてない。 変なイベントやなかったらええけど。
「渚ー」
「なんやー」
隣に座る麻美が名前を呼んでくるが、遊び疲れた私は適当に返事をする。
「なんか心境の変化でもあったー?」
「何の話や?」
「夕也兄ぃの話」
何や今井先輩の事か……。 昨日色々考えたけど、まだ自分がどうしたいかの結論は出てない。
「別に……何も変わらんよ」
「そうなのー? ちょっと積極的になったかなーって思ったんだけど」
「気のせいや気のせい」
と、今はそういう事にしておく。 麻美もそれ以上は何も言ってきいひんし、納得したんやろ。
「……疲れたし、早よ寝たいわ」
「あはー、そうだねー」
周りを見れば既に雪村先輩や清水先輩は眠っている。 皆疲れてはるんやな。
「あかん……私もちっと間寝るわ……別荘着いたら起こしたってや」
麻美に一言告げて目を閉じる。
麻美は「私が起きてたらね」と返事する。
どうやらこの子も寝てまいそうやな……。
こうして、沖縄旅行2日目は過ぎて行くのだった。
ちなみに、疲れ果てた私らは夕食を作る元気もなく、近場のレストランで済ませる事になった。
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