episode.『09月12日(日)/09月14日(火)』
同じ人間だと分かってはいても
住んでいる世界は別次元
いつも画面の向こう側を眺めるばかりの毎日
だから常に意識は傍観者
何を言うでもなく
その光景を瞳に映して
何を思うでもなく
ただ人知れず笑っている
声を発することもなく
何の感情も抱くことなく
誰に対してのものなのか
空っぽの笑顔だった
※
誰もいない家で
絵を描いて
小説を書いて
好きなアニメを見て
勝手気ままに生きて
勝手気ままにに死んで行けたら
どれだけ幸せだっただろうか
誰かと関わる度
自分が嫌いになる
理想との食い違いが私を歪め
夢を壊す
恨み嫉み憎悪
そんな醜い自分が嫌でした
こんなどうしようない自分が
大嫌いでした
※
受験失敗は己が招いた怠惰の結果
それでも合格発表のあの日
私だけが校舎に立ち入ることができなかった
一人呆然と掲示板を眺め
笑顔で帰って来る彼らを前に
心配で暗く染まらぬよう
哀れみの目を向けられぬよう
私はいつも通りの笑顔で
気丈に振る舞っていた
帰りの電車の中でも
私は笑顔を貫いていた
※
自分だけが落ちこぼれになった
二度も挑戦して失敗した
15歳にして人生路頭に迷っていた
皆には笑顔で
人生は長いし気楽に生きるとか
どうとでもなるとか
笑い話で済ましていたけどさ
本当はいろんなものに押し潰されそうで
死にそうだった
それでも私は最後まで笑顔でいたんだ
皆で卒業したかったから
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