episode.『05月27日(木)』



働かなくていいと言われた時


心がスッと軽くなったような気がした


自分を慕ってくれる身近な誰かのために生きる


その考えを肯定されたような気がした


誰でもない自分でいることを


許されたような気がした


周りと同じ道を辿って生きること


それがお前の幸せではないと


そう言われているような気がした



      ※



誰かの真似をすれば


その人のように人気者になれると思っていた


それでも最初だけだった


たとえ何かで秀でていても


それはその場だけの居場所だった


外の世界を知るたびに


目の当たりにして


現実が叩きつけていた


それを極めた者には追い抜かれる


小さな世界で粋っているだけのガキ


それが私だったんだ



      ※



皆が選ばないものを選んで


それをずっと好きでいて


たとえ周りが嫌いになっても


自分だけは好きでいた


誰でもない自分でありたかった



      ※



こんな自分を社会は認めてはくれない


それでも一緒に時を過ごして来た人なら少しは私を知っているから


いつも優しい笑顔で接してくれる


それはきっと自分が変わらない存在でいるからだと思っていた


昔から何も変わらない


ずっと子供のままだった


我慢を強いられ続けて大人ぶるようになったガキだった



      ※



全部、環境のせいだと思っていた


でも、もしかしたら


私は誰よりも幸せ者だったのかもしれない



      ※



不幸だったから


自分が本当に欲しいものは何なのか気づくことができた


お前はこっち側には来れないと


見えない何かに突き飛ばされて


自分の世界に篭るしかなくなった


そこがお前の居場所だと


お前の幸せはそこで叶えられると


そう言われているような気さえしたんだ



      ※



たぶんきっと


私は世界に適していない


私は一人で何でもできてしまうから


誰かの支えなんてなくとも


生きていけるような人だから


勝手に生きて勝手に死ぬ


それが私にとっての人生で


それが私にとっての自由なんだ



      ※



どんだけお金があっても


苦しかったら意味がない


どんだけ友達がいても


孤独だったら意味がない


家族がいても


最も身近な他人なら


いなくても一緒だ


好きなことができて


楽しく生きられなきゃ


生まれてきたことに


意味なんてない


私は私がいたという


証明が欲しかったんだ



      ※



青は悲しみを表し


黒には闇が潜んでいる


赤は怒りを表し


自分にはないものだから憧れる


紫が嫌いなのは


自分を苦しめる毒を彷彿とさせるから


黄色は優柔不断で


黄緑色は爽やか


オレンジは暖かくて


水色は冷たい


白は組み合わせ次第で輝く


灰色はねちっこい


茶色は暗い


ピンクは恋


そんな色の気がする


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