episode.『12月28日(月)』



求人が減っている


今まで以上に根気のいる就活になる


高校受験時プレミアムベビーブームで倍率は高く


志望校の面接でコミュ障全開で失敗


それがトラウマだというのに


就活は更に難を極めると


受けて失敗した試験は数知れず


国が関与するものに関わると落とされる


やはりまた社会が私の道を阻むのですね



      ※



現実は優しくないから嫌いだ


どうあがいても


明るい未来をくれない


幸せは自分で掴むものだと宣う者よ


君の頭は目出度いんだね


どんなに策を講じたところで


報われない人間がいることを知るといい


そして、そうならない君は幸せ者なのだと気づきたまえ


私はあと何度、死にたいと思えばいいんでしょうね



      ※



何度も何度も


現実が私の首を絞めてくる


叶わない夢と実らない恋


まともじゃない家庭


友は離れ一人ぼっち


作り笑いで溢れる毎日


感情なんてとうに失くした


ただ諦めきれないもののため


納得して死にたいがため


生き永らえているに過ぎない


もうすぐまた


神様は更なる絶望を送りつけてくるんでしょうね



      ※



現実は本当に無慈悲だ


神様は私が本当に嫌いなんですね


ただ優しいだけの周り


迷惑をかけまいと離れる私


何もせず自然消滅した関係


必然と誰も助けてはくれない


己が力だけが全てだった


頼れたのは己のみだった


こんな私を世間は知らない


きっと死んでも


私の言葉に耳を傾ける者は


いないんでしょうね



      ※



わかっているんだ


私も父と同じ


醜い家鴨の子でしかない


愛されることはなく


世間に評価されることもなく


道端に転がった石のように


どうでもいい存在で


自分一人だけが


自分をダイヤの原石だと


信じ込んでいる


それを判断するのは周りだというのに


私はこのまま


日蔭者として朽ち果てるんでしょうね



      ※



一人になりたいから


家族が大嫌いだから


家を出るために


自由のために


金を貯めている


けれどきっと


私は一人になったなら


簡単に死んでしまうんじゃないかと


そう思えて仕方がない


たとえ嫌いでも


家族さえ傍にいなくなったら


話し相手なんて誰もいない


今まで以上に溜め込んで


そして死ぬんだろうな



      ※



私が歩んできた道の中に


生きたいなんて


本気で思った瞬間はない


ただ死にたいと


本気で思ったことならある


それでも死ねなかったのは


この世に未練があったから


それを失えば


私はもう私ではなくなる


そしてそれはきっともうすぐで


私はもうすぐ空を飛ぶんだ


誰よりも自由に


もう泣かなくて済むように



      ※



裏と表で極端に人が違っても


これほど


裏と表の振り幅が大きい人を


私は見た事がない


一本の線であるかのように


繋がっていながら


水面下に沈んだ糸の先を


周りの誰も知りはしない


優しさの奥には秘密がある


優しさには理由がある


育った環境がその者を表す


私は優しいのではなく


同情が激しい偽善者だ


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る