汚濁

episode.『12月19日（土）』

アニメを見ると

高揚感で満ち足りる

漫画を読むと

自分も頑張ろうと感化される

小説を読むと

こんな世界線はありえないと

張り合おうとする

カラオケに行くと

共感できる歌詞に

奥底に仕舞い込んだ

自分の気持ちを吐き出せる

音楽を聴くと

切ない気持ちになる

猫を見ると癒される

これが私の趣味です

　　　　　　※

私は幸せになってはならない

この血族は滅びるべきなのだ

父がいる限り不幸は蔓延する

私が末代として祟られるべき

終わりを齎す存在なのだ

この家に生まれた瞬間から

幸せになることなどできない

望むことさえ許されない

そういう宿命を担わされた

そういう星の下に生まれた

私は不幸なままでいいのだ

　　　　　　※

生きていても逃れられず

死んでいても逃れられない

やつが死ねば解放される

私が死ねば父から解放される

けれど後追いされれば絶望だ

自殺をしても安心はできない

お前から逃れる術を講じて

国家権力を行使されたなら

この国のどこにも逃げ場はない

生きていても絶望の継続なら

もう死ぬしかないんだよ

　　　　　　※

もう言い残したことはないだろうかと

いざ考えてみると何も思い浮かばない

もし足りないのだとしたら

それは残留思念となって漂うことだろう

でももう言いたいことのほとんどは書き記した

好き勝手に語る世間への言葉

それに対する私の返答

それも大体載せた通り

全てを語るには事足りない

私の言葉だ

　　　　　　※

こんな家に生まれ落ちた

誰も助けてくれない現実

夢も理想も潰え

友と疎遠になり

一人から独りになった

生きる糧はなくなり

歩むための道標を見失った

この先の人生に幸せはない

生まれてきて良かったと

思えたことなど一度もない

死んでしまいたいと

本気で思ったことの方が多い

報われない生きた屍だ