第四章:LOST UNION/01
第四章:LOST UNION
付いて来いと言った飛鷹に連れられるがまま、遥がやって来たのは――――あるアパートの一室だった。
飛鷹が現状の拠点としているこのアパート、どうやら美雪も一緒に住んでいるらしい。
遥はそんなアパートのリビングルーム、床に据えられたテーブル……ちゃぶ台みたいに背の低いそれの前に座っていた。ちなみに美雪も同じテーブルを囲むように、座布団の上にちょこんと腰を落としている。
「時間も時間だ、丁度腹が減ってくる頃だろう。美弥、何か食うか?」
座布団の上で正座をする遥の方に振り向きながら、キッチンの前に立つ飛鷹がそう呼び掛けてくる。
きょとんとした遥が何かと思っていると、すると飛鷹がキッチンの流し台の下、戸棚から取り出してきたのは……何てことない、ただのカップラーメンだった。
「飛鷹、別に料理が出来ないわけじゃありませんでしたよね?」
カップラーメン片手に立つ飛鷹を見上げながら、苦笑いして遥が言う。
すると飛鷹は「最近は色々と忙しくてな、めっきり料理なんかしていないんだ」と返せば、自嘲気味にスッと肩を揺らした。
そんな彼女に遥はまた小さく苦笑いをしつつ、彼女にこう提案をする。
「だったら、私が作りますから。飛鷹は美雪さんと一緒に座って待っていてください」
――――ということで、遥が二人に夕食を振る舞うことになった。
かといって、別に大したものを作るワケじゃない。冷蔵庫の中にあったあり合わせの材料で、どうにか夕食と呼べる形に仕上げたものを三人分だ。
遥はそれを手早く仕上げると、料理の盛り付けられた食器をテーブルに運び。飛鷹と美雪、三人でちゃぶ台じみた背の低いテーブルを囲んでの夕食を始めた。
「……それで、飛鷹。あの後から今日までのこと、聞かせて貰えますか?」
そうして三人でテーブルを囲み、箸を動かしながら。遥のそんな問いかけを切っ掛けに会話が始まった。これまでのことや、そしてこれからのことについての――――そんな話が。
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