第四章:正義に燃えよ烈火の拳、剛烈の神姫クリムゾン・ラファール/01

 第四章:正義に燃えよ烈火の拳、剛烈の神姫クリムゾン・ラファール



 そうして飛鷹と美雪の二人が飛び出していった頃、遥もまた……戒斗の見舞いに行こうと、黒いカワサキ・ニンジャZX‐10Rのバイクを走らせていた彼女もまた、飛鷹たちが感じたのと全く同じ感覚を頭の中に感じていた。

 ――――甲高い、耳鳴りのような感覚。

 討ち倒すべき敵の、バンディットの出現を知らせる本能の警鐘。何処かでまた誰かの涙が流れようとしている、その警鐘を……間宮遥もまた、鋭い感覚として感じ取っていた。

「この感覚……こんな時に、間の悪い……!!」

 そんな警鐘を感じ取った瞬間、顔をしかめた遥はすぐさまバイクを横滑りさせながら派手に急停車させ。そうすればアクセルターンで一八〇度回頭。今まで向かっていたのとは全く別方向へとバイクを走らせ始めた。

 後ろ髪を引かれる思いだが……戒斗の見舞いは、後回しだ。

 黒く鋭角なカウルで風を切りながら、被る黒いフルフェイス・ヘルメットの隙間から流れる青い髪を靡かせながら、間宮遥は疾走する。

(結局、私は私自身のことを何も知らない。どうして戦っているのか、本当の理由さえ知らないままに……私は、戦い続けている)

 ――――――それでも。

(それでも、誰かの笑顔を守るために……。私が戦う理由は、それで十分です…………!!)

 迷いを振り切るようにスロットルを全開まで開き、間宮遥は全力疾走で駆け抜けていく。今まさに奪われそうになっている、誰かの笑顔を……大切なものを守り抜くために。ただそれだけを胸に、間宮遥は風を切って走り抜けていく。

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