第十二章:白き流星/05
「戒斗、大丈夫?」
「あ、ああ……すまないセラ」
「謝るのはこっちの方よ。……アンタたちの戦いに割って入る隙がなくて、援護ひとつ出来やしなかった」
篠崎潤一郎が去って行った後、戒斗はいつの間にやら廃材置き場から脱出していたセラに引き起こされ、どうにか立ち上がっていた。
「カイト……」
そうすれば、アンジェもよろよろとしながら彼の方に歩み寄ってくるから、戒斗は「アンジェ!」と血相を変えて彼女に駆け寄っていく。
「大丈夫か!? 怪我は……怪我はしてないか!?」
「うん、平気。そこまでダメージはないから」
「そうか……なら良いんだが」
えへへ、と微笑みながら小さく見上げてくるアンジェが無事な様子で、戒斗は心底ホッとする。
ひとまず安堵しながら、戒斗は小さく息をつくと。アンジェの前で被っていたヘルメットを脱いで素顔を見せる。
ヘルメットの下から現れた彼の顔、特に額の辺りには大粒の汗が滲んでいた。彼の頬や額を伝う汗は、この僅かな間の戦いがどれほど熾烈なものだったのか……それを暗に示しているかのようだった。
「でも、本当に何だったんだろう、今のは……」
そんな彼の疲れた顔を見上げつつ、アンジェはチラリと横目の視線を……潤一郎が現れ、そして消えていった方に向けながら、ボソリとそんなことを呟く。
それに対し、戒斗はただ一言「……分からない」と返し、
「だが――――秘密結社ネオ・フロンティアというのは、俺たちが思っているよりもずっと厄介な相手みたいだ」
眼を細めながら、遠い目をしながら……そう、神妙な顔で呟いていた。
(第十二章『白き流星』了)
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